大病をきっかけに選んだ道は、馬の水彩画家 by 加藤みきこさん
「withuma.」vol.40 加藤みきこさん
Profile
お名前:加藤みきこさん
ご年齢:55歳
居住地:神奈川県
Twitter:@0522-chan
第40回は、馬の水彩画家として活動されている、加藤みきこさんです!
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
加藤みきこさんの「withuma.」
経歴は、千葉県館山市出身、東京造形大学デザイン科卒。
自身も馬場馬術経験者で、馬の水彩画制作をしています。
競馬業界のお仕事ですと、エフフォーリア号肖像画、名古屋競馬・沖田厩舎エンブレムなどを手掛けさせていただきました。
「加藤さんの描く馬は意思を持っている」
元JRA調教師、角居勝彦氏より頂戴した言葉です。
大病をきっかけに、このまま死んだら何が心残りかと考えた結果、もう一度絵を描きたい、描くなら好きなものを描きたいと思い、2018年より制作活動を再開。
馬をモチーフに選びました。
現在は『人と馬のかかわり』をテーマに制作をしています。
ダービーの場面を描いた絵を見たワグネリアンの馴致を担当された方に、「人生で一番感動した場面を絵にしてくださりありがとうございます」と、両手ホールドの握手をされたことがあります。
なんとなく分かったつもりでいた、「1頭の馬の栄光の陰には沢山の方々の思いがあるんだ」を実感した瞬間でした。
同時に、私が描かなければならないのはコレなんだ、と思った瞬間でもありました。
普段から心がけていることとして、私の絵をきっかけに、馬に興味を持つ人が一人でも多く増えたら…と思って制作をしています。
加藤先生の作品を初めて見た時、心が奪われる感覚がありました。
ホースメッセでのブースでは、ポストカードを購入させていただき、誰かに送ろうと思っていましたが、素敵過ぎてまだデスクに飾っております。(笑)
ワグネリアンのお話から、描いた作品で心の底から喜んでくれる人がいる事は、クリエイターにとって大変貴重なご経験であると感じました。
角居先生のお言葉、まさに命が吹き込まれているということですね。
馬の背景にいるたくさんの人の想いを想像して描かれているからこそ、絵に命が吹き込まれているのだと感じました。
加藤みきこさんの「Loveuma」
父の影響で見ていた競馬中継で、初めてトウショウボーイを見た時、「なんて美しい生き物だろう」と思いました。
お気に入りの馬は、トウショウボーイとミスターシービーです。
惚れた馬が初恋の男(牡)の息子で、競馬がブラッドスポーツだと身をもって知ったことが、魅力を感じたポイントでもありました。
私にとって、永遠のアイドルですね。
ミスターシービーの作品を拝見し、とても凛々しく、格好よく、加藤先生にとってどのような存在なのかを感じ取ることができました。
おっしゃる通り、競馬はブラッドスポーツ。
好きだった馬の産駒が出てきたとき、面影を感じることも多々あります。
母に似て可愛い目をしているなとか、流星の形が似ているなとか、走っている時のフォルムは父に重なるところがあるな、など、血は受け継がれているんだと実感できるのが、競馬の魅力でもありますね。
引退馬問題について
お仕事としては、一般社団法人 馬と歴史と未来の会さんの「FUMIRE PROJECT」の商品パッケージを担当させていただきました。
引退馬問題の解決には、馬のセカンドキャリアの場を増やすことが大事だと思います。
馬に関心を持つ人、さらに馬を扱う知識のある人など、“人サイド”の育成も重要ではないでしょうか。
リンゴジュースのパッケージイラスト、とても素敵ですね。
加藤先生の描かれる作品は、馬の優しい表情もそうですが、お花などの色味もすごく素敵で、可愛らしいだけでなく馬から気品を感じるような、その馬の柔らかさを最大限に惹きだす、そういったところが魅力的だと感じております。
引退馬問題についても触れていただきました。
“人サイド”の育成、とても重要なことだと思います。
『Loveuma.』に掲載中のコンテンツ、Loveumagazine『知っていますか?”馬の資質の4分類”|宮田朋典の「馬をつくり直す極意」』で、ホースクリニシャンの宮田さんも、
人へのナチュラルホースマンシップの教育を行っていくことで、「馬に考えさせる能力を作ることが可能な人材」「馬の可能性を狭めてしまわない人材」を育てていく必要があると語っておられました。
セカンドキャリア以降、人と共存できる馬をつくっていくには、馬への教育と並行して、人への教育を行うことも大切なのですね。
加藤みきこさんのオンラインショップがございます。
水彩画から、シャツやスマホケースなどのアイテムもありますので、是非ご覧ください。
今回は、馬の水彩画家として活動していらっしゃる、加藤みきこさんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。
リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。
今後も「withuma.」を通して、引退馬問題前進の一助となれるよう、微力ながら馬事産業・文化に携わる人を発信していきますので、是非皆さまからのご応募をお待ちしております!
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協力:加藤みきこさん 取材・文:片川 晴喜 編集:平本 淳也 著作:Creem Pan
ミスターシービーは現役時代から女性に大モテだったとか。
シービー経由で競馬沼にハマった人も多いとか。(代表:鈴木淑子さん)
久保田政子作の天馬トウショウボーイの肖像も、何だかえらくハンサムでカッコよくて、こう言ってよろしければ✨セクシーな威厳💖に満ち溢れる「ザ・サラブレッド」という姿で描かれております。
競走馬を最も美しく描くことは女性の画家の役目かもしれませんね。
(私は最も可愛い三頭身ぐらいのドトウを描くぞ🎵😊🖌️🎨)
雪の上で咲く真っ白な花を撮ったり、白い背景に白い猫を描いたりして成功するアーティストの感性は、洗練の極み。
白と白を重ねるなら、主題の実体は、淡すぎるほど淡いほのかな陰影の層で伝えるしかありません。表現技術が厳しく試されることになると思います。
加藤さんの白猫の絵を拝見して、“A Whiter Shade of Pale”(プロコルハルムの『青い影』の原題)という言葉が思い浮かびました。藤田嗣治(レオナール・フジタ)の作品に初めて出会ったときと同じ感動です。💘💓
この技術と才能で「月山の蒼い馬」などを描かれたら、鑑賞者は鬼気迫るほど幽玄な美の世界に連れ去られてしまいそうですね。
(月山の蒼い馬:立原正秋の小説に伝説として言及される馬。「雪があがった晴れた月夜の日に、月山から蒼い馬がいななきながら空を駆けてくる。村に下りてくると、死後一年経った人間の魂を背中に乗せ、再び空を駆けて月山へ帰って行くという。」)
カメラで捉える刹那のイメージでは伝えきれない「何か」って、確かにあります。
それを人の手が時間をかけて一筆々々丹念に補う(というより引き出す)ことで、作品に生命が宿り馬が「意思」を持ち、彼らに寄り添う人間たちとの深いドラマが一枚の絵に完結するのではないでしょうか。
水彩ならではの透明感は、馬の深く澄んだ瞳を表現するのに最適なのでは?
いつまでもいつまでも、ずっと見つめていたくなります。