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まだ帰りたくないの!ハイテンション女子チームに翻弄される夏


 

北海道新冠町にある、引退馬の牧場ノーザンレイク。

そこで毎日を過ごしているライター・佐々木祥恵が、

馬ときどき猫な日々を綴ります。

 


早朝の放牧地 はっちゃける女子チーム


ここのところ、新冠町も暑い日が続いている。だが昨年ほどの暑さではないので午前3時過ぎの放牧は行わずに済んでおり、今のところ午前4時過ぎに出して、7時前後の放牧だ。アブもさることながら、気温が上がると高齢馬は特にこたえる。アブの襲来が遅めの時は女子チームは若干長めに放れている場合も稀にあるが、北海道は日差しが強いので、この時期は全頭ほぼ短時間で引き上げることにしている。

暑い屋外から馬房に戻ってきてウトウトするメイショウドトウ


牧場関係者は皆そうだろうが、天気予報のチェックは欠かせない。以前はお天気アプリ1つだったが、最近は2つチェックしながら、暑いとか曇だからアブが少なく涼しいとか一喜一憂する毎日だ。

2つのお天気アプリを見比べながら放牧時間や暑さ対策を考える


ところでノーザンレイクでは、放牧時に無口を着けていない。理由は、放牧中に無口をどこかに引っ掛けて外れなくなったり、何かの拍子に外れて地面に落ちた無口に脚を引っ掛ける事故を防ぐためだ。ただこれはあくまでノーザンレイクの方針であって、牧場ごとに事情や考えが違うし、正解はないと思っている。

放牧地に外した無口


個人的に無口を装着していれば楽なのにと感じる場面もある。例えば集牧する時に、まだ帰りたくない女子チームに逃げ回られた時だ。これは虫が少ない快適な時期によくあるのだが、無口を着けていればすぐに捕まえられるのにと逃げられるたびにめげそうになる。(ただそう思うのは私だけで川越にはその発想はないようだ)どうしても捕まらない時はドトウとシャトルの馬体の手入れを先に済ませてから、改めて女子チームを迎えに行く。すると案外すんなり捕まるからまだ助かっているが、もし延々と逃げ回られでもしたら、私のような馬に馬鹿にされている人間は心が折れて、川越に却下されるとわかっていても無口を着けて放牧してくれと願い出てしまいそうだ。

迎えに行っても帰りたくなさそうな女子チーム(タッチデュール、キリシマノホシ、芦毛ちゃん)


アブや虫の多い時期、フライシートと呼ばれる馬着を着せて放牧に出すという手もあるのだが、虫はある程度避けられても気温が上昇するとシースルータイプでも暑いのではないかと想像する。馬は言葉を話せないので、常に心掛けているのは馬が快適に気分良く過ごせているか否かを考えることだ。今後状況によってはフライシート着用もあるかもしれないが、今はアブが少なく気温の低い早朝に放牧という形に落ち着いている。

涼しくアブの少ない時間帯に放牧(写真はタイキシャトル)


だからと言ってフライシートを全く活用していないわけではない。

ドトウは後ろ脚の繋部分の皮膚が敏感で毎日ケアが必要だ。脚を洗うため屋外でケアをすることが多いので、フライシートを着せている。それでもシートに覆われていない部分を狙いにアブは飛来するが、アブを払おうと後ろ脚を上げる回数が減り、ケアはしやすくなった。

プレゼントされたゼブラ柄のフライシート着用で脚元のケアをされるメイショウドトウ


このようにノーザンレイクなりの方針ややり方があり、そこには川越の馬を扱うプロとしての誇りやこだわりを感じる。最初に馬の仕事をした明和牧場での教えが根底にある。次回はそのあたりにも触れていければと思っている。

明和牧場で身につけたブラッシングの技術


(つづく)


 

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協力:ノーザンレイク・認定NPO法人 引退馬協会

文:佐々木 祥恵

編集:平林 健一

著作:Creem Pan

 


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