自分の馬は自分で養う!支援に頼らない“自活飼育”から学ぶ、引退馬支援の形 by わまさん
「withuma.」vol.49 わまさん
Profile
お名前:わまさん
ご年齢:50歳
居住地:大分県
Instagram:@blisspony
第49回は、支援に頼らない"自活飼育"で4頭の馬と暮らしている、わまさんです!
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
わまさんの「withuma.」
15才の夏休みに観光牧場で馬に乗ったことがきっかけで馬が大好きになり、バイトをしながら乗馬クラブに通っていました。
高校卒業後は、バイトで貯めたお金を握りしめ、単身ニュージーランドへ。
2年ほど酪農を手伝いながら、馬でハンティングやトレッキングをするなど、馬三昧な生活をしていました。
写真:本人提供
NZでは馬と人との距離が近く、日本の馬と人の環境との違いにびっくりしました。
いつか私も馬を近く感じれる環境で馬を飼いたいと思うようになりました。
写真:本人提供
写真:本人提供
そして今、引退競走馬のサラブレッド2頭とクォーターホース、ポニーの計4頭と暮らしています。
馬と暮らす夢ともう一つ、大切に思っていることがあります。
支援や寄付を求めず、自分の馬は自分で養う“自活飼育”を理念に馬を飼っています。
自活飼育の為に、週2回キッチンカーで商売しながら4頭の馬を養っています。
支援ありきで飼育してしまうと、支援いただく額が想定より少なかった場合など、何か問題が起きてしまうと馬は、すぐ不安定な状態になってしまいます。
犬猫よりも長生きし、お金もかかる動物だからこそ、しっかりとしたビジョンと計画を持って自分の力で4頭を飼育してきたいと思っています。
写真:本人提供
馬は見るだけでも癒やしになる動物だと思っています。
散歩途中に馬を見ながら井戸端会議をするおばあさん達を見ると、こちらも嬉しい気持ちになります。
馬が人と近い存在になれるよう、ふれあい活動なども行っていきたいです。
馬が好きすぎてニュージーランドへと渡る行動力に驚かされました。
ニュージーランドでは、馬も家族の一員として扱われ、お仕事も手伝っているのでしょうか?
それとも、愛玩動物として庭先で飼われているのでしょうか?
その辺りはとても気になった部分です。
“自活飼育”の概念、とても素敵ですね!
伺ったところでは、キッチンカーで移動するカステラ屋さんを経営されており、その収入で4頭の馬を家族として養っておられるとのことです。
本業で稼いだお金で、責任をもって馬を養う。
私の将来の理想でもあり、目指したい形だと思いました。
わまさんの「Loveuma.」
写真:本人提供
家族として共に暮らす馬の魅力は、人間のように感情豊かで、まるで言葉が通じ合ってるかのようなところです。
わまファームの馬達は言葉で動いてくれることが多いです。
部屋に帰ってと伝えると、自分から部屋に帰ってくれます。
お気に入りの馬は、ロージズインメイ産駒のサマーフィオーレです。
リトレーニングをして乗馬クラブに販売しようと思っていたのですが、脚の状態が芳しくないことと、疝痛持ちなこともあり、手元に残すことに決め、今では私と1番長く過ごしているサラブレッドです。
写真:本人提供
彼女は、私のことをとても信頼してくれています。
様々なリトレーニング方法に応えてくれて、新馬が来た際には、人と馬の信頼関係を作るお手伝いをしてくれる頼もしい相棒です。
ただ、私が体調を崩すとフィオーレも体調を崩したりもするので、フィオーレのためにも自分の健康管理は大事です。
写真:本人提供
彼女の存在を一言で表すならば、「宝物」です!
以前、Loveumagazine.『革命的アイデアで"F1マシン"を"乗用車"に!?|宮田朋典の「馬をつくり直す極意」2/4』で取材したホースクリニシャンの宮田さんは、「馬に名前を教えて個体認知をさせ、人の指示を聞いたうえで自分はどうするのか、その馬自身に答えを導き出してもらう」と仰っていました。
わまファームの馬たちも、わまさんの言葉を聞いたうえで、考えて行動できているのですね。
その信頼関係はとても素敵だと感じました。
サマーフィオーレは佐賀競馬からやってきた引退馬なのですね。
わまさんが体調を崩されると、彼女も体調を崩してしまうというお話はとても興味深いですね。
深い意識レベルでシンクロするようになると、波長が同調して互いに影響が出てくるのでしょうか。
その摂理はとても気になります!
引退馬問題について
以前は、リトレーニングをして乗馬などへの販売を考えていましたが、沢山レースを戦ってきた馬は、リトレーニングの前にまず治療などに時間がかかり、乗用馬への転用が難しいと感じる馬も少なくないのが現状です。
引退馬支援という観点からは、リトレーニングをきっかけに出会った故障持ちの2頭のサラブレッド達と暮らすことも引退馬支援になるかもと思い、この馬達と暮らすことを決め、SNSでアップするようになりました。
写真:本人提供
私は現実的に全ての引退馬を救うことはできないと思っています。
できないからこそ、生きるチャンスを掴んだ馬はしっかり未来へと繋いであげてほしいと思います。
ネットでは、色々な引退馬の支援団体が見受けられます。
とても良い考えの団体もあれば、???な団体も様々です。
もし、サポートする側が騙された、こんなはずじゃなかったなどという問題が起きれば、真面目に引退馬を支援したいと取り組んでいる支援団体にも不利益になってしまいます。
馬の世界は正解がない世界だからこそ、サポートする側も馬の知識を持ち、ジャッジする目を持つことが、これからもずっと続いてほしい引退馬支援には大切なことだと思います。
先に登場したサマーフィオーレも、2012年には29戦を走り抜いており、脚元の状態が回復するまでにはかなり時間を要することも想像できます。
Loveumagazine.『「サラブレッドは乗馬に不向き?」馬術競技選手・増山大治郎 3/3』でも、乗馬クラブを経営する増山さんは、「乗馬クラブでは、休養・回復のために必要な期間に馬を養うためのランニングコストを自費で持ち出すことになり、すべての引退馬を乗馬に転用することは難しい」と仰っていました。
引退馬のセカンドキャリアを考えるうえで、お金と時間は切っても切れない大きな課題ですよね。
支援団体の質についても述べていただいておりますが、昨今は引退馬支援の流れが加速しており、それと同時に、様々なクラウドファンディングを目にすることも増えました。
引退馬問題を解決したいという声が高まる中で、問題を抱える引退馬支援プロジェクトが乱立することで、高まりつつある機運が終焉に向かうことは大きな懸念であると感じています。
そうした中で十分な計画性を携えた活動が大切であると思いました。
わまさんの“自活飼育”がまさにそうですね!
今回は、支援に頼らない"自活飼育"で4頭の馬と暮らしている、わまさんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
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協力:わまさん 取材・文:片川 晴喜 編集:平本 淳也 著作:Creem Pan