全日本馬場馬術選手権2022王者の、次なる目標はオリンピアン! by 長谷川雄介さん
「withuma.」vol.62 長谷川雄介さん

Profile
お名前:長谷川雄介さん
年齢:37歳
居住地:茨城県
X(旧:Twitter):@EffortStable
Instagram:@hase_es_dressage
第62回は、全日本馬場馬術選手権2022チャンピオンの長谷川雄介さんです!
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
長谷川雄介さんの「withuma.」

写真:本人提供
馬場馬術の選手として活動しており、6年ほど前、オリンピックに出場する為に独立しました。
現在は馬術・競走馬のトレーニング施設「EffortStable」の代表も務めています。
馬術は、馬と共に演技するスポーツですので、人間のバランスや技術だけではなく、馬の能力や血統や馴致等、馬の能力を伸ばす事を1番大切に考えているかもしれません。
出来る事なら自分で生産した馬で世界に挑戦したいですが、日本のサラブレッドが毎年5,000〜7,000頭の生産に対して、ほぼ同じ国土のオランダでは毎年血統登録がされない馬を含めると40,000頭ほどの生産がされています。
そんなに甘いことではないのは重々承知していますので、今はなるべく長く共に過ごした馬とオリンピックを目指して活動したいと考えています。
オリンピックで決勝に行って音楽と共に自由演技をするのが生涯の目標です。
先の東京オリンピックでも、馬場馬術含め、馬術競技は食い入るように見ておりました。
特に馬場馬術の中でも、人馬が息を合わせて音楽と共に披露する自由演技は、その優美さに魅了されたことを覚えております。
人と動物が唯一共に参加するという点で、他の競技と一線を画していますよね。
オリンピック決勝の舞台で長谷川さんの演技を拝見できる日を、心待ちにしております!
長谷川雄介さんの「Loveuma.」

写真:本人提供
私の感じる馬の魅力ですが、初めは単純に、恐竜みたいな大きな動物を間近で見たときに恐怖すら感じました。
しかし関わっていく中で考えている事がある程度分かってきたり、人間のように馬も個性が強い事に気付き、早々から馬という動物に魅了されました。
綺麗で大きくて、カッコイイところも魅力です。
写真:本人提供
私のお気に入りの馬は、ジンガーノースサイドです。
日本選手権を初勝利させて頂いた馬です。
大きく、ルックスも好みで、年齢の割に"やんちゃ"です。
最高難度のグランプリを彼と僕なりにトレーニングして、2022年に日本選手権を初優勝させて頂きました。
とにかく今まで騎乗した馬の中で、最初のインスピレーションから間違いなく僕との相性が良かったですし、健康状態等悩む事はありましたが、それら全てが僕の財産になっています。
彼が居なかったら今の僕は無いし、彼で悩んだ事は、これから先もアップグレードされていくのが体感で分かります。
もっと早く気付いておきたかった事は山ほどありますが、とにかく彼との毎日が僕の馬術人生において、とても素晴らしい時間になっています。
ですので今回は、私にとって「戦友」とも呼べる彼を、お気に入りの馬として選ばせてもらいました。
おっしゃる通り、馬は外見も魅力的ですが、個性豊かなところも大きな魅力ですよね。
ジンガーノースサイドは、2004年生まれのKWPN(オランダ温血種)なのですね。
Loveuma.に掲載している記事では、主にサラブレッドについて紹介することが多いので、KWPNについて少し解説させていただきます。
なんと過去4度のオリンピックでは、馬術競技(障害・馬場・総合)の12個の金メダルの内、5つを獲得したのが、ジンガーノースサイドと同じKWPNです。
19世紀にオランダで作り出された中間種で、農業用に開発された重種のヘルデルラント種とフローニンゲン種が基礎となり、そこへ軽種のサラブレッド、フランスやドイツの中間種を交配された品種とのこと。
輓用馬(農業用)特有の歩様と牽引に最適な長い背は、サラブレッドを導入することで短く力強いものに変わり、気質も近縁の中間種と交配することで矯正されたと言われており、障害飛越競技、馬場馬術競技に優れた能力を発揮しています。
ちなみにグランプリとは馬場馬術のクラスの一つです。
JEF(日本馬術連盟)科目のA~Sクラス、その上にFEI(国際馬術連盟)科目があり、FEI科目最高峰のグランプリ及びグランプリスペシャルは、オリンピックの馬場馬術でも実施されるハイレベルな科目となっています。
引退馬問題について
長谷川さんのInstagramより
私が行っている引退馬支援としましては、引退した競走馬を引き取り、リトレーニングしています。
引退馬問題の解決についてですが、年間5,000頭以上生まれるサラブレッドの生涯を全て保証するのは、とても難しい事だと思います。
何をもって解決なのか、考え方は人それぞれだと思いますが、まずは馬術に興味を持ってもらい、少しでも騎乗者が増える事が一つの解決策だと思います。
それから野球やサッカーのように、馬術を見に来るためにチケットを取らなければならないくらい人気があるスポーツになれば、今より少しだけ命を繋げられる馬が増えるのかなと考えています。
引退馬のセカンドキャリアとして最も多いのが乗馬ですから、乗馬の受け皿が拡充することは、引退馬問題を考える上で、とても大切なポイントになると思います。
しかしながら馬だけが増えても、騎乗者が増えない事には根本的な解決には至りませんので、馬術がもっとメジャーになってくると良いですよね。
サラブレッドの特性では、馬場馬術に適した個体というのは多くないかもしれません。
ただ障害馬術では、ヨーロッパなどで生産されている中間種とも渡り合える素質があると、Loveumagazine「サラブレッドは乗馬に不向き?」にご登場いただいた、馬術競技選手の増山大治郎さんも仰っていました。
引退馬が馬術競技で活躍することで、競馬ファンが馬術に興味を持つ可能性も高まると思いますし、そこを入り口として乗馬・馬術界全体が盛り上がっていってほしいと感じました。
今回は、全日本馬場馬術選手権2022チャンピオンの長谷川雄介さんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。
リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。
今後も「withuma.」を通して、引退馬問題前進の一助となれるよう、微力ながら馬事産業・文化に携わる人を発信していきますので、是非皆さまからのご応募をお待ちしております!
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協力:長谷川雄介さん 取材・文:片川 晴喜 編集:平林 健一 著作:Creem Pan
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引退馬問題の解決について。
>まずは馬術に興味を持ってもらい、少しでも騎乗者が増えること
>馬術を見るためにチケットを取らなければならないくらい人気があるスポーツになれば
既存の馬術競技に加えて、引退サラブレッドに適した新種目をデザインしても楽しいのではないかと思います。
それと、小学校から体育の授業に「乗馬」を入れるといいですよね。
運動会にも、必ず馬を使う種目を入れて。昼休みには華やかな騎馬パレードなんか見ながらお弁当を食べられるようにして。🍱🥪🥤🥙🧃
万人が公費で騎乗レッスンを受けられるようになれば、馬好き人口は急増するかも。
JRAの馬事部では、「ホーストレッキングを日本の新しいレジャーとして定着させたい」という野望、いやプランを持っているそうです。将来的にはディズニーランドに匹敵する人気レジャーにしたいとか。😮
ここまで大風呂敷を広げたからには途中でたたまずに初志貫徹していただきたいものですね。
💪😗🎵
あくまでも自分の好みですが、馬場馬術のお気に入り馬Top3は、(1)サリネロ号、(2)ヴァレグロ号、(3)トティラス号。
このうち2頭がKWPNですね。(サリネロのみハノーファー種)
ジンガーノースサイドのお父さんは「グリバルディ」って書いてありました。
トトくん(10億円ホースを愛称で呼んでよければ....😅)と同じ。
グリバルディはトラケーナー種(だけどKWPN)の超良血種牡馬で、現役時代にはやはりグランプリ・レベルで演技をしていて、洗練されたエレガントな動きに定評があったとか。
このグリバルディ父さんを実際に見たことはないのですが、全盛期のトティラスの演技を見れば、大体想像できますね。見る者を胸アツにしてやまない力強さ、エレガンス、E・ガル選手とまさに人馬一体の素晴らしいリズム感。「生きる喜び」そのもののような動きでした。
ジンガーノースサイドにも父の天分が伝わっているとしたら(いるに決まってるじゃン!😤✨)、特にキュア(音楽付きのフリースタイル)では一段抜けた演技ができるはずと期待が高まります。
オランダからドイツへ売られた後のトティラスの晩年はあまり幸せではなかったけれど、最大の不幸は、相性抜群だったガル選手と離れ離れになってしまったことではないでしょうか?
見ず知らずの私が言うのも何ですが、長谷川さんとジンガーノースサイドはこれからも「戦友」として長く良いパートナーでいていただきたい。
出会いの時のインスピレーションを大切に、人馬とも怪我に気をつけて頑張ってください!
✌️😊