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メト・チビにも励まされ、ノーザンレイク、新たなチャレンジスタート!


 

北海道新冠町にある、引退馬の牧場ノーザンレイク。

そこで毎日を過ごしているライター・佐々木祥恵が、

馬ときどき猫な日々を綴ります。

 


メイショウドトウの放牧地の柵で見張りをするメト


8月17日にタイキシャトルが急逝し、厩務員時代に川越が担当していたゼンノロブロイも9月2日に天に召された。8月上旬にはやはり川越の担当馬で、引退後乗用馬となっていたフライングアップル(スプリングS優勝)もこの世を去っていて、悲しく切ない出来事が続いている。川越は、冷静淡々と仕事をこなしている。いつも通りを繰り返すことで、平常心を保っているのかもしれない。私は時折、悲しみにとらわれ、仕事の手が止まってしまうことが多々ある。


川越の背中に乗るメト騎手


そんな時、慰めてくれるのはメトとチビの2匹の猫だ。

メトは人の膝や肩、背中に乗るのが大好きだ。少しでも油断をすると飛び乗ってきて、なかなか降りてくれない。体重が6キロ近くあるはずで、乗られた人間の方が段々辛くなってきて大変ではあるが、そこがまた愛おしくもある。


布団に潜ったチビ


チビはお転婆で好奇心旺盛。猫用おもちゃや布団の中に潜り込むのが好きだ。


じゃれ合うメトとチビ


仲良く窓際に座る2匹


また2匹で追いかけっこをしたり、お互い猫パンチを繰り出したり、チビがメトのご飯をかすめ取ったりなど、2匹のバトルも面白い。遊び疲れると、2匹で体を寄せあって眠っていたりと、微笑ましい姿にいつも癒やされている。

いつの間にか2匹の猫はかけがえのない家族となった。


「ノーザンレイク有志の会」から贈られた募金箱


猫たちに励まされながら、日々の仕事をこなし、新しいことにも挑戦している。それはグッズ販売と募金箱設置だ。

引退馬の牧場の収入源は、基本的に預託料だ。だがある程度の敷地を維持管理しようとすると、経費がかなりかかる。しかも新型コロナの影響で、輸入飼料が毎月飼料のように値上がりしており、やりくりはかなり厳しい状況が続いている。

そこで以前から考えていたグッズ販売に乗り出すことにした。


看板と同じデザインのクリアファイル


手始めに作成したのが、クリアファイルだ。牧場入り口に設置した看板が想像以上にグッドデザインだったので、それをそのままクリアファイルにしてみた。はじめはお世話になった方々にプレゼントして反応をみさせてもらったのだが、なかなか良い手応えを感じた。


「ノーザンレイク有志の会」の協力を得てトートバックを試作中


将来的にはネット通販も視野に入れているが、ひとまず見学者に販売を開始した。同時に募金箱も置いた。以前から寄付のお問い合わせがチラホラあり、そのたびに恐縮しながら有り難く頂戴してはきたが、募金箱を置くのには少し抵抗があった。できれば寄付に頼らず、運営していきたいという思いがどこかにあったからだ。積極的にこちらから呼びかける寄付に踏み切れない私たちのために、有志の方3名がノーザンレイクを応援する「ノーザンレイク有志の会」を結成し、会の名前入りの募金箱を送ってくださった。



牧柵がなかったり壊れたりで使用できない1番広い放牧地と壊れた牧柵の一部


実際牧場を始めてみると、馬にかかる経費以外にも前述したように、敷地の維持管理にお金がかかる。今現在、やらなければならないのは、洗い場の枠をしっかりしたものにする、牧柵を打ったり牧柵を補修して1番広放牧地を使えるようにする、パドックの扉を付け替える、監視や防犯カメラの設置、雨漏りなど厩舎の補修(できれば厩舎を新しくしたい)など枚挙にいとまがない。

経費を節約するために自分たちでやるにも限界がある。馬が快適に過ごせる牧場にするためにも、ノーザンレイクを応援してくださる方からの温かい心遣いに少し甘えさせていただこう。募金箱を前にして、そう考えを改めた。 

またクリアファイル以外のグッズも製作中だ。商品のラインナップを揃えて、なるべく早くネット通販を開始できるようにしたい。馬も人も少しでもゆとりを持って生きていくために、こちらの売り上げは牧場自体の収入とさせていただく。


※寄付の方は、定期的に収支報告する予定


ドトウの脚元のケア中に…


引退馬の牧場である限り、馬の看取りが最大の仕事でもある。馬の死は慣れるものではないが、亡くなった馬たちが遺していってくれた数々の教えや思い出を胸に、馬と人が気持ち良く過ごせる牧場を目指して、様々なことにチャレンジしながら前に進んでいきたい。

(つづく)


 

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協力:ノーザンレイク・認定NPO法人 引退馬協会

文:佐々木 祥恵

編集:平林 健一

著作:Creem Pan

 


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8 Comments


HisMajesty Graustark
HisMajesty Graustark
Sep 07, 2022

ページ中ほどにある布団もぐりのチビちゃんの写真ね。親バカ傾向のある猫好き(ワタシ! ワタシ!)にとっては、もうたまンないドリームショットです😍

「うちの子」のこんな一枚が撮れたら、自分が世界一の猫写真家になったような気がするんだろうなあ....

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HisMajesty Graustark
HisMajesty Graustark
Sep 06, 2022

差し出がましいようですが、ノーザンレイクの寄付口座を指定されてはいかがでしょう?

個人的には、代表の個人口座でもいいと思います。そして、将来はクレジットカードで寄付ができるようになると嬉しいです。

安易に外部援助に頼ることを良しとしないお二人。寄付を募るのに強い抵抗があったであろうことは、すごくよくわかります。でも、この場合の寄付は、施しではなく感謝の表れです。

多くの人が、ノーザンレイクの日常を見て、引退馬が最終ステージを過ごす「我が家」はこうあってほしいと強く感じたと思います。だから、少しずつでも感謝の気持ちを集めて、みんなでノーザンレイクをもっともっと素敵な場所にしていきたい。そう思った人は、全国にたくさんいるのではないでしょうか。

ノーザンレイクは、川越さんと佐々木さんの人徳(& メトチビのニャン徳)もあって、様々な引退馬施設の中でも特に存続への期待が高く、安定的な経営を支援していきたい(いくべき!)養老牧場の一つだと思っています。

極め付けの「なごみ」と「癒し」と「調和」を生み出す家族的共生のあり方が、すでに一つの付加価値となっているノーザンレイク。このようなモデルが持続していけば、他の個人牧場や遊休地の所有者の中にも引退馬支援に理解や意欲を示す人が増え、繋養地の確保と支援にもつながるのではないかと考えます。

コロナ禍や遠距離や仕事の都合などで、なかなか現地へ見学に行けず、募金箱までたどり着けないのが残念! しかしそれだけに、なおさら何か自分にできることをして「感謝」を伝えたい、とムズムズしているファンもいるはず。

私など、できることなら妖精の小人のおじいさんになって毎晩ノーザンレイクへ出張し、こっそり草を刈ったり牧柵を直したりしてみたいほど。一夜にして立派な御殿じゃなかった厩舎を建てて驚かせてあげられたら、もっといいのだが…などと夢見る日々です。


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Guest
Sep 06, 2022

メト騎手でダメだったw

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HisMajesty Graustark
HisMajesty Graustark
Sep 06, 2022
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冒頭の動画で、ドトウが挨拶に近寄ってきたときのメトさんの視線を追ってみましょう。

明らかに騎乗チャンスを狙っておられます。

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けだま
Sep 06, 2022

最後のドットさんのドアップとその後ろを通るメットさんに乗られた川越さん、最高ですね!

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HisMajesty Graustark
HisMajesty Graustark
Sep 06, 2022
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昔々、「おんぶおばけ」というかわいい妖怪がおりましたとさ....


メトさん、かわいくてもいいけど、石のように重くならないでね。

雄猫とはいえ6kgは結構大きい。トップハンデを背負った川越号がどこまで走れるか?


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Guest
Sep 06, 2022

かわいい

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HisMajesty Graustark
HisMajesty Graustark
Sep 06, 2022
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ですね。

私もたまにはこういうさっぱりしたコメントを書いてみたいものです。

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