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「名馬」になれなかった馬たちの中にも、「誰かにとっての名馬」がいる by 秀間 翔哉さん


「withuma.」vol.42 秀間翔哉さん



Profile

お名前:秀間翔哉さん

ご年齢:25歳

居住地:埼玉県

Twitter:@Iwasborn_toRUN

 

第42回は、ハル―ワソング一族を追い続ける競馬ライターの秀間翔哉さんです!

いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?

 


秀間翔哉さんの「withuma.」

写真:本人提供


フリーランスの競馬ライターとして活動しています。

競馬ニュース&コラム「ウマフリ」にて不定期でコラム等を執筆。

そのほか、「Loveuma.」に掲載されますインタビュー記事、主に星海社新書より出版されます共同著作の競馬関連書籍、岩手競馬のフリーペーパー「ウマフリ岩手」などの執筆活動に参加させていただいております。

サラブレッドたちへの責任と恩返しのつもりで取り組んでおります。


2019年末に「ウマフリ」代表の緒方さんからお声がけいただき、翌20年6月に初めてのコラムとなる「今日も涼しい顔をして〜私にとっての永遠のヒーロー・ビワハヤヒデ」が公開されました。

それ以降、主に名馬記事を不定期で執筆させていただいております。


懇意にさせてもらっているバーの店員さんたちに「若いんだからチャレンジしてみれば」と背中を押してもらったことで競馬ライターとしてのTwitterを開設、そこから書籍やインタビュー記事などのご依頼をいただくようになり、今に至ります。


コラムについては出来る限り、対象の馬の背景やそこに至るまでの道のりまでを細かく書くように気をつけています。

競馬はそのレース、その瞬間だけで完結するものではなく、一頭一頭のドラマが積み重なって生まれるサラブレッドの歴史の一部分だと思っていますので、読んでくださる方にその辺りの雰囲気だけでも伝われば良いなと思いながら書いています。

競馬に興味がない人たちにも読んでもらえるように、馬に興味を持ってくれるきっかけの一つになれるような文章を書けるようにしたいと思っており、その一環としてそういう方々があまり見たことのない馬の姿や表情を表現できるようにするため、競馬場に行ったり、年に2回程度は北海道に行って牧場見学させていただいたりしながら、馬たちの写真を残すようにしています。

実際に見たり、聞いたりした馬たちの姿は、今すぐにではなくても役立つことがあるはずだと思っています。


写真:本人提供

写真:本人提供


この活動における個人的な目標としては、もっとたくさん執筆活動をさせていただいて、引退競走馬のことで何かアクションを起こしたいという人たちのお手伝いができればいいなと考えています。

競馬や引退競走馬のことについて、「もっと知ってほしい」という関係者の方々と、「もっと知りたい」というファンや「何も知らない」というこれからのファンの間に立って、どちらの方面に対しても声をお届けできるような活動、お仕事ができたら良いなと思います。


もっと大きな枠組みでの目標とすると、功労馬や引退馬の問題はそう簡単に解決できるものではないと思っているので、なるべく多くの方に現状を知っていただくことが当面の目標なのではないかと思います。

まだまだ「馬」という存在が非日常である日本においては、乗馬人口の増加等も含めて課題は多いと思いますから、競馬・乗馬・ホースセラピーなどそのジャンルを問わず、少しでも馬を身近に感じてもらえる環境造りをしていけると良いなと思いますし、それらのお手伝いができればありがたいです。

今はまだ力不足で何もできない私ですが、いつかきっと馬たちの役に立って恩返しができるように頑張りたいと思います。

 

馬が持つドラマや歴史を、競馬ファンのみならず広い層に感じてもらう、とても素敵だと思いました。

私も『Loveumagazine』で2度執筆をさせていただいておりますが、まだ初の執筆から1年経たずの駆け出しですので、先輩のライターから学ばせていただくことは非常に多いです。


ファンと関係者をつなぐことは、私たちの様なメディアの役割であると思いますし、それがこの活動の魅力でもあると感じています。

それは秀間さんのおっしゃるように、競馬だけではなく引退馬についても同じこと。

現場で起きている事実や、馬を養う人たちが伝えたいこと、更に引退馬の利活用などについても、積極的に発信していくことが大切だと感じています。


秀間さんが文章を担当された『Loveumagazine.』も、是非ご一読ください。


「全員から好かれなくていい! 引退馬ビジネスの風雲児」岩﨑崇文(Yogiboヴェルサイユリゾートファーム)


土地がない、お金がない、人材がない!|名伯楽・角居勝彦の挑戦 1/4

 

秀間翔哉さんの「Loveuma.」

写真:本人提供


競馬を好きになるきっかけをくれたビワハヤヒデ、衝撃的なレースぶりに心を奪われたデュランダル、私の青春そのものだったエアスピネル、乗馬クラブ在籍時にとにかく可愛がっていた牝馬(名前は伏せますが)などお気に入りの馬たちはたくさんいますが、あえて一頭だけと言われれば、ウェイヴという馬の名前を挙げます。


写真:本人提供


高校生3年生だった私が乗馬クラブに入会したその日、初めてのレッスンで乗った馬です。

私の原点とも言える馬でしょうか。

乗馬ももっと上手くなって彼と一緒に障害を飛ぶのが一つの夢でした。


残念ながら彼が若くして突然亡くなってしまいましたので、その夢は実現することなく終わってしまいましたが、「馬はこんなに突然いなくなってしまうんだ」というあの経験が、今の私のモットーである「会いたい時に、会いたい馬に、会いに行く」に繋がっていると思います。

今でも、もっとたくさん写真を残しておけばよかったと思いますし、何かもっとできることがあったのではないかと考える時もあります。

ですから彼に馬鹿にされないように、あの頃の自分自身よりももっとたくさん馬を勉強して、たくさんの馬を見て写真に収めて、彼に褒めてもらえるように成長したいと思っています。


また、彼はハルーワソングという馬の子どもでした。

私が今、ハルーワソングの一族を追いかけているのもその影響です。

競馬は血のロマンだと思っている私にとって、彼と同じ血を引く馬たちを今、こうして追いかけられていることはとても幸せなことですし、そんな馬たちのどこかに彼の面影を探し続けているのだろうと思います。

ありがたいことに、たくさんのご縁に恵まれてハルーワソング自身にも会わせていただくことができましたし、今は一口馬主という形ではありますが、ハルーワソングの子ども、孫、ひ孫にも携わることができています。


写真:本人提供


同じような言葉が色々なところで使われてるとは思いますが、私が馬と携わる時に大切にしている言葉の一つに「馬は二度死ぬ。一度目は命を落とした時、二度目は人に忘れられた時。」というものがあります。

ウェイヴ自身は競走馬としても乗馬としても特別な成績を残すには至りませんでしたが、私という1人の人間の人生に大きな影響を与えてくれました。

きっと彼と同じようにいわゆる「名馬」になれなかった馬たちの中にも、「誰かにとっての名馬」がいるはずなので、そんな馬たちを二度死なせてしまわないように活動ができればと思います。


彼の存在を一言で表すと、これまでもこれからも唯一、「友達」だと言える馬であり、私の指針である馬です。

 

ウェイヴに誓った決意が、今の秀間さんの原動力となっているのですね。

ハル―ワソング一族を推していらっしゃるのは以前よりTwitterを通して存じておりましたが、そこにウェイヴの存在が深く関わっていたことを、今回初めて知りました。


「会いたい馬」が競馬業界の中にいる間は、競馬場に応援しに行く以外で、なかなか一般の人が「会いたい時、会いに行く」ことは叶いません。

現役馬がいるトレセンは関係者以外立ち入ることが出来ませんし、繁殖に上がった先の牧場でもそれは同じことです。


私も人生を変えてくれたハープスターには1度だけ会うことが叶いました。

彼女は今繁殖をしており、また会いたいと願っていますが、そのタイミングは時の運ですので、こちらは願い続けるしかありません。

だからこそ、「会える時に、会いに行く」ことはとても大切だと感じました。

※見学の際は必ず対象が定めるルールに従ってください

 

引退馬問題について

写真:本人提供


それが引退馬支援と言えるものかどうかはわかりませんが、依頼いただいた限りの執筆活動を行わせていただいております。

TCC Japan様の「馬のみらいアクション」のブックレットの記事執筆、Loveuma.様の「Loveumagazine.」にてヴェルサイユリゾートファームと角居勝彦元調教師の記事執筆等がこれまでの主な活動実績になるかと思います。

私自身は馬券の記事やレース回顧を書くよりも、引退馬の支援に繋がるような文章を書く活動に力を入れたいと思っております。


繰り返しになりますが、引退馬の問題は決して簡単に解決できるものではないと思っています。

今や、競馬大国と言っても過言ではないほど一つの産業として競馬が成熟してきた日本において、競馬そのものの縮小や生産頭数の制限などは、それを生業としている人々の生活に直結します。

動物愛護の観点から競馬や馬の食文化に否定的な意見があるのは承知していますが、禁止・廃止という極端な議論ではなく、まずはこれまでできていなかったこと、チャレンジしてこなかったことなど様々な方面からのアプローチを増やしていくことが大切なのではないかと感じています。


例えば、昨今のウマ娘ブームの影響で私の周りの20〜30代の若い世代が競馬に興味を持ってくれている事実があります。

まずはゲームに興味を持ってもらい、実際の競馬への興味へ繋げていく。

そこから養老牧場、乗馬、ホースセラピーなど一歩進んだところまで足を踏み入れてもらえれば、世界はもっと広がるのではないかと思います。

それには馬が身近とは言い切れないこの日本の文化を少しずつでも変化させていく必要があるのではないでしょうか。


今までの競馬ファンも「競馬というギャンブルは好きだけど、馬のことは知らない」という人はたくさんいたはずですし、せっかく今、このような良い流れが来ているところでもっと間口を広げて、たくさんの方々に競馬から進んだもう一歩を体感してもらうことが大切だと思います。

「競馬」を好きな人が100人いて、その100人全員が引退馬支援に携わっていければ理想的ですが、それはあまりにも非現実的です。

まずはその半分の50人に競走馬のその後のことを知ってもらって、さらにその半分に興味を持ってもらって、その半分に実際のアプローチをしてもらって、その半分が継続的に気にして、まずは100人のうち1人が積極的に動いてもらえるようなそんな形からのスタートしていく。

最終的には競馬を楽しむ人の中で1人でも多くの方が直接的にでも間接的にでも馬に携わっていけるような環境が構築できると良いかなと思いますし、その道のりのどこかしらに自分自身が携わっていたいなと思います。


写真:本人提供

 

秀間さんのおっしゃる通り、極論では物事を円滑に進めることは困難だと思います。


多くの人に馬の魅力を感じてもらうことで、馬の需要が増え、引退馬が活躍する場も増えると思います。

同時に担い手やお金も集まっていけば、リソースの問題も段階的に解消されるのではないでしょうか。


私たちのような、ファンと関係者をつなぐ中間位置にいるメディアの人間に課せられた役目は、引退馬支援の取組みを伝えることもそうですが、馬や馬と関わることの魅力を発信し、裾野を広げていくことであると信じています。

 

 

今回は、ハル―ワソング一族を追い続ける競馬ライターの秀間翔哉さんの「withuma.」を伺いました!

毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!