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上岡馬頭観音の絵馬市がやってくる!知っているとより楽しめる小噺をご紹介🐴👨🏻‍🦲🪷



かつて育成牧場の場長を務め、現在は曹洞宗妙安寺の僧侶。

「ウマのお坊さん」こと国分二朗が、徒然なるままに馬にまつわる日々を綴ります。


そもそも上岡馬頭観音とは


毎年2月19日には、上岡馬頭観音の例大祭である絵馬市がある。

今まで私のブログでは、告知的なものを控え、自分の日記というか、やってきたことの事後報告的な内容ばかりであった。

けれども今回はガッツリ宣伝していきたいと思う。

だってウマ年なのだ。

多くのメディアが馬に関わるイベント事を紹介している。

「ウマのお坊さん」という珍妙なキャッチコピーを自ら課した身として、今年は宣伝要員として大いに「いななきたい」と思っている。





まずそもそも上岡馬頭観音とはナンだ?の宣伝をしていきたい。

創設は鎌倉時代の黎明期となる。だから歴史的にも相当古い。

なんなら我が曹洞宗の開祖である、道元禅師が降誕する前に、すでに馬頭観音としての信仰を集めていたのだ。


ここの物語はさらに昔、ひとつの小さな黄金の尊像から始まる。

はるか天竺から中国へ渡り、和の国(日本)へもたらされたという黄金の尊像。

きっとそこには孫悟空もビックリのストーリーがあったに違いないが、詳細は一切不明だ。

このあとも国宝級の物語が続いていくが、「あーそういうやつね」ということで、ツッコミは入れないでもらいたい。


その黄金の尊像は、武運に多いなる守護をもたらすとして信仰を集めていた。

まず最初に託されたのは坂上田村麻呂。

いきなり霊験あらたかっぷりを発揮して、麻呂くんの蝦夷征討を成し遂げさせる。

そして次に尊像を手にしたのは平貞盛。あの有名な平将門の征伐を成し遂げた武士だ。

この際に貞盛を守護していたのが、我らが黄金の尊像だったのだ。


田村の麻呂さんから貞盛まで、いきなり100年以上経過しているが、なかなか良いラインを突いているではないか。

良いラインって何なんだ、という不遜極まる話は置いておいて、次は源家へ伝えられる、とされる。

源義家から藤原秀衡へ。

あれ?急に刻んできたなと思ったら、ここで木曽義仲の討伐に向かった源義経の手に渡るのだ。


・・・ああそういうことか、と。


みんな大好き源義経。

格式を持たせたいが故に、どうにか日本中の伝来にねじ込まれる義経。

あらゆる場所で伝説を残している義経。

登場し過ぎている故に、漂うマユツバ臭はいかんともしがたい義経。

もう不遜で結構な義経。


話は続いていく。無事に木曽義仲の討伐を終えた義経は、その後、友人である瑞慶という僧侶に、この黄金の尊像を預けた。

理由は「ずっと手元に置いておくのは恐れ多い」からとされている。

そしてこの友人の瑞慶和尚こそが、この上岡馬頭観音の祖となる方だ。

え?なんで(もし実在していたなら)国宝級の大切なものを、友人に預けちゃうの?

秀衡さんに一度戻すのが筋じゃないの?

なんて思ってはいけない。だって話が終わってしまうから。


瑞慶和尚は、義経が牛若丸(遮那王)であった頃に、鞍馬寺で一緒に修行していたという。

おそらくこの部分だけは、本当の話なのであろう。

(イヤおそらくこの部分だけ、とか言うな)。

きっとマブダチだったのだ。

同級生が有名になった時、あーおれアイツの事よく知ってるよと、すれ違うだけの関係だったくせに語る人とは違う。と、信じたい。


とにもかくにも黄金の尊像は、瑞慶和尚に託された。

つまり武運の霊験あらたかな尊像が、義経の手を離れてしまったのだ。

言いたいことは分かるだろう。

そう。史実の通り、義経は頼朝に追われ、奥州平泉へ逃げ延びる羽目になる。

すごいぞ黄金の尊像。よく出来たストーリーではないか。

もし司馬遼太郎さんがこの逸話を知っていたら、壮大な物語が紡がれ、今頃は大河ドラマになっていたのではないだろうか。


焦ったのは瑞慶和尚だ。

今こそこの尊像が、マブダチ義経に必要ではないか。

窮地に陥った友の下へ届けなければならない。

鎌倉を発ち、平泉へと向かう。

が、しかしだ。

道中、埼玉県の東松山あたりに差し掛かったところで異変が起こる。

なんと黄金の尊像が突然百千斤の重さになり、全く動かせなくなってしまったのだ。


オーマイブッダ。


現在の重量に換算すればおよそ60トン。

大型トラックでも太刀打ちできない重さである。

ここは圧死しなかった瑞慶和尚を褒めるべきであろう。


例大祭の様子。神馬と一緒にやる仏事って日本でココだけかもしれないです。
例大祭の様子。神馬と一緒にやる仏事って日本でココだけかもしれないです。
絵馬市の様子。売り手とのやり取りも貴重な風物詩。
絵馬市の様子。売り手とのやり取りも貴重な風物詩。

つづく






文:国分 二朗

編集:椎葉 権成

著作:Creem Pan

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