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上岡絵馬こそ「日本に残る最後の手書き絵馬」! なぜここまで貴重なのか?🐴👨🏻‍🦲🪷



かつて育成牧場の場長を務め、現在は曹洞宗妙安寺の僧侶。

「ウマのお坊さん」こと国分二朗が、徒然なるままに馬にまつわる日々を綴ります。


なぜ上岡絵馬は貴重なのか


実際の絵馬の発祥となると、江戸時代だそうだ(根岸さんによる)。

根岸家の前に絵馬講の帳元であった戸森家が、書き始めたらしい。

すでに上岡馬頭観音が栄えに栄えていた。

門前町として発展し、宿屋も(少なくとも)4軒あったのだ。

日常の往来は絶えず、当時の賑わいは凄かったらしい。

上岡銀座という言葉が残っているくらいだ。





つまり、お守り絵馬の需要は確実にあったというわけだ。

絵馬を描き売り始めて、間もなく絵馬講という組織を作り上げたのだから、

「戸森家が商売上手だったんだねぇ」

根岸さんは笑って続けた。


さて実際の絵馬について記そう。

これはもうハッキリ言い切るが、【日本に残る最後の絵馬】だ。

文句があるなら、かかってこい。

今までの伝来由来にはちょっと怪しげな部分があるのは認めよう。

しかしこの、絵馬そのものに希少価値に関しては一歩も譲れない。


ただ本気でかかってこられると、小心者の私としては怖いので、ちょっと付け足そう。

【日本に残る最後の、板の手書き絵馬】だ。

さらに言えば【日本に残る最後の、お寺で頒布される板の手書き絵馬】だ。

別に弱気になったわけではない。

手書きとお寺の付与でSR越えUR確定という話だ。


今現在、世の絵馬は、ほぼ全てシルクスクリーンという印刷で作られている。

ゆえに安価で大量生産が可能。

だからダメというわけではないが、当然どの絵馬を手にしても、寸分違わない味気ないものとなる。


だが上岡絵馬は型紙を用い、色を刷毛で刷り込んでいく。

当然手順は何工程もあるし、輪郭やたてがみ、そして瞳は筆で描いている。

完全手作業。

もうだから、全然絵馬としての立ち位置が違うのだ。

文化財として後世に残すべきものと言えよう。


その構図、絵柄にも上岡絵馬の大きな特徴がある。

構図はハネ(跳ね)とタチ(立ち)の二種類。

鞍の部分には花柄で大きく蝶結びの腹帯。

もう、可愛すぎる。


もっと細かい絵柄のルールがあるのだが、それを全て書くと学術資料っぽくなってしまうので控えよう。

とにかく全てルールにのっとって、描かれている。だから、わたしクラスになると一目で上岡絵馬だと分かる。

まあ多分、みんな分かる。


これらが絵馬市の前日に、櫻井住職渾身の法要によって加持を得ることで、正式に上岡絵馬の完成となるのだ。

そして翌2月19日の絵馬市保存会の皆様によって対面で頒布される。


どうですか?欲しくなったのではないですか?

ちなみに当日に対面販売のみなので、ご所望の方は境内にお越しください。

売り切れ必至なのでお早めに。


と、宣伝がひと段落したところで、なぜ上岡絵馬が貴重なのか?という話をしたい。

ナンだ!まだ宣伝が続くのか!厚かましいハゲめ!とプンスカしている方には、ちょっと待っていただきたい。

言い換えよう。

なぜ上岡絵馬が貴重になってしまったのか?。

だって、ほんの100年前にはそこら中の神社仏閣で、手書き絵馬は頒布されていたはずだ。

何故ココだけになってしまったのか。


そう。単純に絵馬が売れなくなったから。

そして利益を求めるのであれば、シルクスクリーンでの製法の方がよほど割が良いから。

実際、上岡絵馬も消失寸前であった。

馬体安全を主な御利益としていたがゆえに、産業の機械化のあおりをまともに受けてしまった。

むしろ上岡絵馬は、最も早くに失われても仕方のない文化だったのかもしれない。


ところがどっこい。上岡には根岸さんがいた。

儲けが出なくなった絵馬講の解散は世の流れだが、この文化は絶やしてはいけないと守ってくれた。

国の選択無形民俗文化財に選定されたあとは、保存会を立ち上げ、絵馬の歴史を調べ上げて講演で紹介したり、まさに孤軍奮闘してくれている。


その理由は、「根岸家が絵馬講の帳元であった」からはもちろんなのだが、もう一つの理由として、自身が生まれた時の話をしてくれた。


製作途中の絵馬。大きな蝶結びの飾りが大きな特徴のひとつ。
製作途中の絵馬。大きな蝶結びの飾りが大きな特徴のひとつ。
筆で輪郭や表情を描く。自分の好きな表情の絵馬を探すのも楽しい。
筆で輪郭や表情を描く。自分の好きな表情の絵馬を探すのも楽しい。

つづく






文:国分 二朗

編集:椎葉 権成

著作:Creem Pan

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