🐎🌳🍀“馬に会える場所”をつくる
- Loveuma.

- 9月18日
- 読了時間: 4分

引退馬支援のパイオニアであり、認定NPO法人引退馬協会・代表理事の沼田恭子氏が、
馬と暮らす毎日から抱く思いを綴ります。
サムネール画像:タービランス(引退馬協会所有馬/フォスターホース)とともに
先週のことになりますが、2025年4月にオープンした「TCC メタセコイアと馬の森」(滋賀県高島市)、2024年元日に発生した能登半島地震で大きな被害を受けた「珠洲ホースパーク」(石川県珠洲市)を訪ねました。
馬を身近に感じられる湖北の新たな観光スポット
TCC Japan 代表の山本高之氏(株式会社 TCC Japan 代表取締役)、珠洲ホースパークを設立されたJRA元調教師の角居勝彦氏(一般財団法人ホースコミュニティ 代表理事、みんなの馬株式会社 取締役COO)、共に引退馬関連のイベントなどでよくお会いするお二人ですが、今回初めて活動の場所を訪ねました。

「TCC メタセコイアと馬の森」施設内のあちこちに植えられたメタセコイアはまだ若く、繊細な姿です
「メタセコイアと馬の森」は琵琶湖の北側に位置する観光養老牧場で、すぐ近くに有名なメタセコイア並木があり、一般の観光客もふらりと立ち寄って馬を身近に感じることができる場所。芝を張った独特なドーム形状の屋根、檜など良質の木材を用いた館内の設えなど、デザイン性と実用性に富んだ豊かな空間です。

山本高之氏のご案内で厩舎を見学。左・加藤めぐみ 引退馬協会 専務理事、中央・筆者

工事中の通路にもウッドチップが敷かれていました。右手に栗の木畑が広がります
山本さんにご案内いただき、いろいろなお話を伺いました。9月上旬でまだ夏休みの時期でもあり、この日は平日にもかかわらず、牧場には大勢のお客様が来られていました。厩舎の見学には入場料が必要ですが見学を希望される方が多く、毎日たくさんの方が馬房に居る馬たちの様子を楽しまれるそうです。
オープンして5ヶ月、現在は厩舎エリアの手前を工事されていました。花壇をつくり、芝を張り、整備されていくそうです。今後も、もっと居心地のよい“馬に会える場所”になるよう、皆さんと一緒に力を合わせて作っていかれるとのことです。
※現在開催中のクラウドファンディング
災害に左右されず馬と共生できる環境づくり
その2日後に「珠洲ホースパーク」を訪ねました。ここでは、海からの風も吹く、涼やかで気持ちのよい放牧地に馬たちが居ました。地震の影響はまだまだ残っていますが、今は水も使えるようになり日常生活が戻ってきている様子でした。

「珠洲ホースパーク」放牧場では馬たちが穏やかに過ごしていました
地震により道路が寸断され、電気が止まり、水が出なくなる。私たちの生活にあって当然の、あらゆるものたちが無くなってしまう。あり得ないようなことが現実に起こってしまったのです。
角居さんはこの経験を元に、環境をオフグリット化して、整備されようとしています。 どんな災害があっても左右されない、馬との共同生活ができる環境づくりを、地元の方々に参加してもらいながら一緒に続けていかれるそうです。

角居勝彦氏と筆者

飲料水を得るために導入した浄水装置を説明する角居氏
馬のいる場所は、穏やかな癒しの場でもあります。多くの方が馬を通して癒され、馬と共に良くなる社会を目指されています。
お二人共に、全国の方に呼びかけながらも、地元の方にとって良い場所、社会を豊かなものにしたいというお気持ちが伝わってきました。
求められるのは、馬を思い、馬を身近に感じる場所
実は今回の訪問には、ある目的がありました。 それは、これから私たちが北海道浦河町で展開する、すべての馬が帰る場所「うまのふるさと」モニュメントづくりへの応援メッセージをお願いすることでした。
山本さん、角居さん、お二人が目指されていることがそれぞれに素晴らしく、方法こそ違いますが馬たちの未来を考え、人と共に歩めないかという考えは、私たちにとって共通の目的とあらためて感じました。お二人に力強いお言葉をいただき、とても元気が出ました。
馬に会いたいと思ったとき、気軽に会える場所があったら、なんとすてきなことでしょう。 身近にそんな場所があれば、私たちの生活はもっと楽しくなるだろうし、馬たちの“就職難”も解消されて行くのではないかと思います。
引退馬の就職先は、人を乗せることを目的とするのが通例となっています。しかし、景色の中にいる馬を見ているだけですてきな気分になりますし、人参をあげたり、ブラシをかけてあげたり、馬と身近に接することで癒されたり、元気をもらったと感じたりします。それができる場所も、引退した馬たちの就職先として有効ではないでしょうか。
Profile
沼田恭子(ぬまたきょうこ)
広島県生まれ。乗馬倶楽部イグレット 代表取締役、認定NPO法人引退馬協会 代表理事。1997年、引退馬協会の前身となる「イグレット軽種馬フォスターペアレントの会」を設立。2011年「特定非営利活動法人引退馬協会」設立、2013年「認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)」となった。
文:沼田 恭子
構成:Yumiko Okayama
編集:椎葉 権成
著作:Creem Pan


























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