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2025年の振り返り✨️この1年もたくさんの馬と人に会うことができました


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引退馬支援のパイオニアであり、認定NPO法人引退馬協会・代表理事の沼田恭子氏が、

馬と暮らす毎日から抱く思いを綴ります。

サムネール画像:タービランス(引退馬協会所有馬/フォスターホース)とともに


メリークリスマス🎄

2025年もあと1週間となりました。


乗馬倶楽部イグレット クラブハウスにて
乗馬倶楽部イグレット クラブハウスにて

「いろいろなところへ出かけたい」

「普段なかなか会えない馬や人に会いたい」

「新たな出会いを楽しみたい」


今年の元旦に立てた目標は、日常に追われる身としては無謀ともいえるものでした。

しかし、蓋を開けてみれば、ほぼ毎月各地へ足を運び、未知の場所にも足を延ばし、そして何よりも多くの馬たちと出会うことができた実り多い1年となりました。


引退馬協会の基本事業に、会員の皆様とともに馬の余生を支える「フォスターペアレント(里親)事業」があります。その対象となる存命のフォスターホースは、年始めの段階で48頭でした。

フォスターホースたちに会いに行くことも、今年の目標に加えました。


1月以降、タイキポーラ、タイキフォーチュン、フォーティファイド、マンダララ、ヴァイオレットラブ、デフィニットの6頭が亡くなっていますが、それ以上の数の馬が新たに仲間となっています(12月現在、存命フォスターホースは計58頭)。



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馬に携わる人々の“愛情”と“誇り”、そして“願い”


フォスターホースを預託している施設は、北海道から鹿児島まで全国にあります。受け入れ前の段階はもちろん、馬が実際に生活を始めてからも現地へ行って馬と人に会い、見守り体制を整えていくことが大切と感じています。預託施設が多い北海道へ3回、10頭のフォスターホースを預けている鹿児島へ2回。また、今年は協会主催のツアーもありました。


そのほか、高知、山口、滋賀、金沢といった地域にも足を延ばす機会に恵まれました。

フォスターホース以外にも、再就職支援プログラムでリトレーニング中の馬や、引退馬ネットで関わる団体・個人所有のサポートホースなど多くの馬たちに会うために、千葉、茨城、群馬、栃木、岡山など本州各地へも積極的に足を運びました。残念ながら伺うことができなかった施設もありますが、これも来年への課題と捉えています。


10月、引退馬協会開催の北海道ツアーにて。3日間、会員の皆様とかけがえのない時間を過ごさせていただきました。会員さんたちに囲まれるメイショウドトウ。ノーザンレイクで暮らすドトウは29歳。来年は30歳の大台を迎えます(引退馬協会フォスターホース。画像提供:引退馬協会)
10月、引退馬協会開催の北海道ツアーにて。3日間、会員の皆様とかけがえのない時間を過ごさせていただきました。会員さんたちに囲まれるメイショウドトウ。ノーザンレイクで暮らすドトウは29歳。来年は30歳の大台を迎えます(引退馬協会フォスターホース。画像提供:引退馬協会)
11月、ホーストラストにて。26歳のサマーナイトシティも鹿児島で元気に過ごしていました(引退馬協会フォスターホース。画像提供:引退馬協会)
11月、ホーストラストにて。26歳のサマーナイトシティも鹿児島で元気に過ごしていました(引退馬協会フォスターホース。画像提供:引退馬協会)

これらの訪問を通じて、馬に携わる多くの方々と意見を交換することができ、それはとても大切な時間となりました。

地域によって飼育環境や獣医療体制には大きな違いがあるものの、共通して感じられるのは、皆様一人ひとりの馬への深い愛情と、この仕事を選んだことへの誇りです。しかしながら、獣医療の地域格差や、飼料・敷料の確保の困難さといった苦労もまた、各地で垣間見えました。


このような格差を解消し、馬たちがより安心して暮らせる環境を整えることは、私たちの願いです。この願いを実現するため、今後もこの仕事に携わる方々との連携を深め、共に何ができるかを模索していきたいと考えています。



犬や猫のように、馬も身近な存在に


私のひとつの願望として、馬が犬や猫のように、多くの人々にとって身近な存在となることが挙げられます。

実際に触れ合う機会がなくても、犬や猫については多くの方が基本的な知識や理解を持たれています。たとえば、見知らぬ犬の尻尾を安易に引っ張る人はいませんし、尻尾を振る様子を見て犬が喜んでいることを感じます。また、猫を抱いた時には、顎の下を撫でると心地よさそうにゴロゴロと喉を鳴らすことを多くの方が知っています。


犬や猫と同じように、馬もまた誰もがその生態や感情、接し方を自然と理解できるような、身近な存在になっていくことが大切と感じています。そして、馬たちとのふれあいを通じて、その魅力をより深く感じていただきたいと願っています。


看板犬のおてんとうさんが見守る中、ワークショップで馬とのふれあいを実践。モデルはインカラム(再就職支援プログラム第40期生。画像提供:引退馬協会)
看板犬のおてんとうさんが見守る中、ワークショップで馬とのふれあいを実践。モデルはインカラム(再就職支援プログラム第40期生。画像提供:引退馬協会)

今年、引退馬協会では専門家をお招きして馬と仲良くなるためのワークショップを開催しました(会員限定ふれあいイベント「フォスターホースと過ごす日」)。参加いただいた皆様からご好評をいただき、もっと学びたい、参加したいという声を多数お寄せいただいています。


このイベントは来年も継続する予定です。馬に触るのが初めてという方も歓迎です。フォスターホースたちをモデルに、馬とのふれあいを楽しんでいただけましたら幸いです。



来年は午(うま)年。飛翔の年です。

今、大きく変化しようとしている引退馬を取り巻く世界が、来年もさらに広がることを願っています。


※ふれあいイベントの様子はこちら👇️

2025年11月23日「FHと過ごす日」リポート/「馬とのコミュニケーションツール」第4回


Profile

沼田恭子(ぬまたきょうこ)


広島県生まれ。乗馬倶楽部イグレット 代表取締役、認定NPO法人引退馬協会 代表理事。1997年、引退馬協会の前身となる「イグレット軽種馬フォスターペアレントの会」を設立。2011年「特定非営利活動法人引退馬協会」設立、2013年「認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)」となった。



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文:沼田 恭子

構成:Yumiko Okayama

編集:椎葉 権成

著作:Creem Pan


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