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みんなを馬好きにした魔法のポニー🐴🧙

  • 8月21日
  • 読了時間: 4分


引退馬支援のパイオニアであり、認定NPO法人引退馬協会・代表理事の沼田恭子氏が、

馬と暮らす毎日から抱く思いを綴ります。

サムネール画像:タービランス(引退馬協会所有馬/フォスターホース)とともに


乗馬倶楽部イグレットのポニー厩舎の中で、馬房前のチェーンも、外の放牧地に続くチェーンも、 あえて外された一角があります。

そこに住む体高110センチの小さなポニー。彼女の名前はショコラ、今年で36歳。イグレットで一番の長老です。





ショコラ 牝36歳。意思の強さを感じるこの写真は筆者のお気に入り
ショコラ 牝36歳。意思の強さを感じるこの写真は筆者のお気に入り

ショコラのやんちゃな少女時代


ショコラがイグレットにやってきたのは、3歳の時でした。

とてもきれいなチョコレート色の毛並みをしていたことから、その名がつけられました。


賢いショコラはすぐにいろいろなことを理解して、小学生を対象として乗馬のレッスンを行うポニークラブで

活躍するようになりました。でも、実はショコラ、最初から今のような穏やかな先生だったわけではありません。

若い頃は、それはもう「イケイケ」の女の子。

ちょっとした隙があれば人を振り落としてしまうような、やんちゃな時代もあったのです。


いつから彼女は、こんなにも優しく賢い、素晴らしいパートナーへと変わったのでしょうか。



ショコラは幼い子どもも乗ることができる素晴らしい「先生」。この子も今では中学生になりました
ショコラは幼い子どもも乗ることができる素晴らしい「先生」。この子も今では中学生になりました

子どもたちを馬好きにした、最初の先生

かつてのやんちゃぶりはどこへやら、ショコラはいつしか最高の先生へと成長しました。


彼女がどれほど多くの子どもたちにとって「最初の馬」だったか、数えきれません。

子どもたちを背に乗せると、ショコラはいつもゆっくりと、そして同じテンポで

常歩(なみあし)や速歩(はやあし)をしてくれます。

そのリズムは幼い乗り手にとって心地よく、何よりも安心できる魔法のテンポでした。


まだ小さな3歳の子でも、ショコラの背中に乗れば不思議とみんな落ち着いていました。

ショコラの背中は、怖がりな子を勇気づけ、好奇心旺盛な子を優しく受け止める、魔法の場所だったのですね。


「馬ってこんなに優しいんだ」


そう教えてくれたショコラのおかげで、ポニークラブを巣立っていった何人もの子供たちが、

今も馬と関わり続けています。



洗い場にて、イグレットの看板犬・ゴールデンドゥードルのおてんとうさんとショコラ。一緒にシャンプー待ち
洗い場にて、イグレットの看板犬・ゴールデンドゥードルのおてんとうさんとショコラ。一緒にシャンプー待ち

長老ショコラの穏やかな毎日

36歳という大ベテランの今、ショコラの毎日はゆったりと流れています。

体調が良い日には、厩舎から200メートル先にある放牧地までゆっくり歩き、

仲間たちと一緒にのんびりと草を食んでいる姿も見られます。


もちろん、そんな彼女には特別なケアも欠かせません。

毎日のメニューは、柔らかい乾草、栄養たっぷりのペレット、

ふやかして柔らかくしたビートやヘイキューブ、整腸剤にアマニの粉砕。

そして、喉に詰まらないよう細かく刻んだ、お楽しみの「にんじん」も忘れません。

そして時々のマッサージと電気治療は、ショコラの楽しみになっています。



朝の自由放牧を楽しむ馬たち。左にショコラ
朝の自由放牧を楽しむ馬たち。左にショコラ
オムレツ君(左)とショコラ、ふたりの時間
オムレツ君(左)とショコラ、ふたりの時間

斜め向かいの恋人?

そんな穏やかな隠居生活を送るショコラですが、最近の彼女にはちょっとした楽しみがあるようです。

それは、斜め向かいのお部屋に住む、オムレツ君(引退競走馬ノーブルマーズの愛称。セン馬13歳。引退馬協会 再就職プログラム第39期生)のこと。

若い男の子のことが気になるのか、それともただの仲良しなのか……。

オムレツ君の馬房の前でたたずむショコラをよく見かけます。

瞳が少しだけ輝いて見えるのは気のせいでしょうか。


年を重ねてすっかりおばあちゃんになったショコラですが、なぜか神々しく感じる時があります。

淡々と続く穏やかな日々が、これからも一日でも長く続きますように!!



「ショコラおばあちゃんのバレンタインデー」チョコ(りんご)を渡すお相手はもちろんオムレツ君(イラスト提供:乗馬倶楽部イグレット)
「ショコラおばあちゃんのバレンタインデー」チョコ(りんご)を渡すお相手はもちろんオムレツ君(イラスト提供:乗馬倶楽部イグレット)

Profile

沼田恭子(ぬまたきょうこ)


広島県生まれ。乗馬倶楽部イグレット 代表取締役、認定NPO法人引退馬協会 代表理事。1997年、引退馬協会の前身となる「イグレット軽種馬フォスターペアレントの会」を設立。2011年「特定非営利活動法人引退馬協会」設立、2013年「認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)」となった。



文:沼田 恭子

構成:Yumiko Okayama

編集:椎葉 権成

著作:Creem Pan


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