やってくれたな、メイショウドトウ! 両面を丁寧にゴロンゴロン…
北海道新冠町にある、引退馬の牧場ノーザンレイク。
そこで毎日を過ごしているライター・佐々木祥恵が、
馬ときどき猫な日々を綴ります。
夏時間が終わり、各馬放牧に出るのは7時30分頃になった。人間の起床時間は6時前後。夏場よりだいぶ楽になった。だが私自身、夏の疲れからなのか日中も夜もすぐに眠くなってしまい、ついついウトウト。うまく時間が使えず、事務仕事がかなり滞っている。最近、2日ほど眠くて夜飼いを川越1人に任せてしまったこともあり、生活を立て直さなければと真剣に考え始めた。
7時半頃、メイショウドトウ、タッチノネガイ&タッチデュール、芦毛ちゃん&キリシマノホシの順で放牧地へ
忙しさや疲れにかまけて食生活もいい加減になっていたので、そのあたりも改善しなければならない。夜はスマホを極力いじらず早めに寝て、5時前に起きて事務や原稿書きなど厩舎に行く前にひと仕事終わらせるようにしたい。そしてこの機会にダイエットも。厩(うまや)仕事で体を動かす分、食欲が増進される。ただ年齢的に代謝が落ちているので、結果的に太ってしまった。夏から映像の取材を受ける機会が多く、放送や動画に映し出される自分の姿を見るたびに、ダイエットの必要性を強く感じている。見た目だけではなく、体が太め残りだと動きも重くなる。川越と私以外のスタッフを雇えるほど経営に余裕はないので、2人とも倒れるわけにはいかない。牧場を滞りなく運営するためにも、健康管理と太め快勝は必須事項。11月からはそのあたりにも力を入れていくつもりだ。
健康のためにオートミールを再開
春から初夏にかけてと、雪が降る前の今の時期が馬たちにとって1番過ごしやすいのではないだろうか。7時半頃放牧に出た馬たちは、青草を無心に食む。草の伸びがだいぶ悪くなってきたが、かろうじて青草を味わうことがまだできている。少し気温が上がるとハエが馬にまとわりつくが、それもかなり少なくなった。雪が降る前に飛ぶ雪虫も見かけるようになったし、季節は確実に冬に近づいている。
放牧地の隅の笹を食べるデュール
残り少ない青草の時期を堪能するドトウと女子チーム
「女心と秋の空」という諺があるように、秋は天候が変わりやすい。諺になるほど女性は機嫌がコロコロ変わるものなのかとも思うのだが、キリシマノホシとタッチデュールを見ているとなるほどと納得する場面に時折遭遇する。キリシマは、さっきまで気分良さげにしていても何かの拍子にすぐに機嫌が悪くなるし、デュールは何かの拍子にすぐにスイッチが入って熊癖(ゆうへき)が酷くなる。
朝、1頭だけスイッチが入っているデュール
今年の秋はコロコロ変わるほどではないが、さっきまで晴れていたのに、気が付けば黒っぽい雲が上空を覆い雨がパラついたり、日中は晴天だったのに夕方から急に雨ということもある。そうなると放牧地のゲート付近の地面はドロドロになり、そこでこぞって馬たちは砂浴びするものだから、皆ほぼ泥だらけ。砂浴びでは片方しか寝転ばない場合もあるが、メイショウドトウ、タッチノネガイ、キリシマノホシはほぼ両面やってくれる。
ネガイは元々肉付きが良く丸い体型なので、片方だけではなく、左右にゴロンゴロンと転がる。キリシマも茨城時代より丸みを帯びた体になったので、時折ネガイのように左右に転がったりもしている。ドトウは寝転んで右側を地面にこすりつけて立ち上がり、今度は反対側を地面にこすりつけるという流れだ。泥んこになった馬たちを眺めながら、夕方の手入れ時間が大変そうだとため息が出ることもしばしばだ。
両面ゴロゴロやってくれたドトウ
収牧はドトウが早めで12時前後。お昼近くなると飽きるのか、入口付近で早く迎えに来てくれないかなとウロウロしていたり、じっと佇んで待っていることもあるので、以前よりも早めに馬房に戻すようになった。女子チームは15時過ぎの収牧で、以前はネガイさんだけがゲート付近で帰りたいアピールをしていたのだが、最近は皆で待っていることが多くなった。
ゲート付近で待っているドトウ
少しチャカチャカしながら馬房に戻る
収牧時間になるとゲート付近で待っている女子チーム
さて収牧後は、ドロドロになった馬体の手入れだ。今時期は丸洗いもできず、ひたすら泥をブラシで落とす。川越が長年勤めていた藤沢和雄厩舎では、ほとんど洗わずに馬を手入れしていたそうだ。そんな話を含めて、また次回詳しく紹介する。
泥んこの芦毛ちゃん
プラスチックブラシで泥を落とす私
(つづく)
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協力:ノーザンレイク・認定NPO法人 引退馬協会
文:佐々木 祥恵
編集:平林 健一
著作:Creem Pan
中の人にしてみれば、「やってくれたな!」と肩を落としたくなるのはごもっとも。
もうちょっとヒトの苦労を察してくれたらいいんですがね。。。🥹(💢)
でも、馬の癖っておもしろい。
わざわざ立ち上がって気合を入れ直してまで、律儀に両面ゴロを全うするドトウ。
熊癖がリズミックダンスのように楽しげに見えるデュールさん。
秋の空のように気まぐれな女優気質のキリちゃん。
デュールさんのゆらゆらは音楽を付けてみたいほどですが、実際は何を訴えんとしてあの動きをしているのでしょう?
楠瀬良先生によると、常同行動は馬の快感と結びついてストレス解消になっていることもあるため、無理にやめさせようとしないで上手に付き合っていくことがベターなのだとか。
つまりデュールさんの場合は、
何か(おやつ?)を期待してワクワク感が高まると、スイッチが入る
↓
期待どおりにおやつをもらったので「ワクワク=ゆらゆら=快感」と記憶する
↓
ストレスの兆しを感じた時、それを中和/解消したくて「快感」を呼び覚まそうとする
↓
快感物質は「ゆらゆら」によって分泌したことを脳が覚えているので同じ動作を繰り返すようになる
。。。こんなメカニズムなのかな?
こうして私どもには馬学の知見が着実に増えますが、中の人の多大なご苦労を代償に得られた学びだと思うにつけ、もう一生、北海道には足を向けて寝られないと思うばかりです。(🙏🏻)
P.S. 私は非常食のオートミールクッキーを馬に強奪されたことがあります。ご注意ください。
今回は「ノーザンレイク・秋の日常」みたいな流れで、動画と併せて想像しながら読ませて頂きました。
過ごしやすい秋といえど気候の変化に人馬共に気持ちの部分でフラストレーションが溜まっているのかもしれませんね。
それにしても…ゴロンゴロンで泥パックされた後のお手入れで、水を極力使わずキレイにさされていたとは。
毎日元通りの姿へ戻す&蹄などのお手入れのご苦労お察しします😅