こちらが出向けばいいじゃない!と思い立ち、装蹄師の話を聞きに行く🐴👨🏻🦲🪷
- Loveuma.
- 5 時間前
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かつて育成牧場の場長を務め、現在は曹洞宗妙安寺の僧侶。
「ウマのお坊さん」こと国分二朗が、徒然なるままに馬にまつわる日々を綴ります。
ふと思い立ち、装蹄師の工場へ
少し前の話だ。
3月に入っていきなりの雪予報の中、美浦トレーニングセンターへ向かった。
前日20℃近くまであったのに、その日は2℃。
季節の変わり目にありがちといえど、乱高下っぷりがもうトム・クルーズ。
ただ天気予報に脅されまくり、憑りつかれたように重ね着したので、向かう車中はむしろ暑いくらいだった。

馬の世界から去って以来、何度か美浦トレセンには来ているが、それは亡くなった馬の供養の為だ。
今回、馬頭観音の前を素通りするのは、不思議な感覚だった。
同時に少しホッとしている自分に気が付く。
スイマセン馬頭観音様。
今日は楽しい用事なんです。
そのまま奥へ進み、装蹄所へ。
ここへ来るのは全くの初めてだった。
鉄屋さん(装蹄師のこと)には牧場へ来てもらうのが常で、工場(こうば)へ出向くことはほぼ無い。
つまり今日は装蹄師に会いに来たのだ。
装蹄師とはウマの蹄の形を整える人。
蹄とは爪なので、要はネイリストなのだが、オシャレ要素は微塵も無い。
手にするのは筆とかジェルとかラメではない。
釘にハンマー、そして鎌だ。
ガラスの脚と表現される、馬の四肢を守る点において、最重責を担う鍛冶屋イコール装蹄師だ。
上岡馬頭観音境内で毎月第三土曜に行っていた馬マルシェ。
催しとしてトークイベントもやっていた。
あらゆる馬事文化を紹介していく目的で、ゲストを呼び、お話を聞く。
皆さんにも楽しんでもらえたと思っているが、何より自分が楽しかった。
在来馬の保護運動から各地のお祭り、異国の馬事情などなど。
「ウマのお坊さん」などと一風怪しげなデカい看板を掲げているが、話せば知らないことばかり。
自分がいかに無知であるかを知るのは、痛快ですらあった。
ただ一つ問題もあった。
競馬のある土曜日に開催している以上、知り合いの競馬関係者には来てもらえない、ということだ。
そもそも声をかけること自体がとんでもなく失礼。
土曜日に来られる?と問うのは(あなたの厩舎は出走馬も無くどうせ暇でしょ)の意を盛大に含んでいるからだ。
今年からマルシェは季節ごとの開催となった(ただし夏は暑すぎるからやらない)。
だからトークイベントも秋までない。
となって、気がついた。
そうだ、こちらから出向けばよいのだ。
相手の都合に合わせれば、競馬関係者の話を聞けるではないか。
となると会いたい人、話を聞きたい人はモグラ叩きのごとく無尽蔵に頭の中で湧いて出てくる。
そんなわけで出張ウマのお坊チャンネル第一弾の出演をお願いしたのは、装蹄師の佐藤さんであった。

(つづく)
文:国分 二朗
編集:椎葉 権成・近藤 将太
著作:Creem Pan
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