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さようならお嬢さん…💐 リバティアイランド号への献花に赴いた件について🐴



馬のような謎の四足歩行生物「UMA」の産みの親である

イラストレーター・鷹月ナトが、

日頃の制作活動の舞台裏や、馬への愛を書き連ねる連載です。


5月10日、曇天の京都競馬場。


三冠ゲート側から
三冠ゲート側から

先日の雨の影響で天気は優れなかったが、なんとか雨は降らずでいてくれていた。

この日に京都に訪れた理由は、一つは出資馬がレースに出走すること。もう一つは4月に香港のレースで予後不良となり、亡くなったリバティアイランド号への献花だ。

今回は私が見ていた中での思い出を語っていく。





今は亡きドゥラメンテを父にもち、母はヤンキーローズという血統。2歳から才能を開花させ、2022年の阪神ジュベナイルフィリーズを制して2歳牝馬の頂点へと立つ。

その後、頂点を揺るがせることなく3歳牝馬クラシックを三冠とも制覇。鞍上の川田騎手と共にその名を轟かせた。


当時オークスでの6馬身差をつけたリバティアイランドの勝ち方を見て、これは三冠馬になるかもしれないと私は感じた。三冠を達成した瞬間とはどういう感じなんだろう。実際に見てみたい、感じたい。そう考えた私は京都競馬場で行われる秋華賞へ赴いた。



多くの観客がひしめくパドックで、秋華賞に出走する乙女たちを見る。

リバティアイランドはパドックでは黒いメンコを被って歩いていた。周りの話の中には「髪飾り今日してるのかな?」「なんの色の髪飾り今日はしてるんだろ」みたいな話もあった。

鬣にある髪飾りは彼女のトレードマークとなっており、秋華賞に合わせたカラーリングじゃないかとか想像されていたりしていた。


私は髪飾りも気にしつつ、テクスチャのような模様が入った尻のバキバキ具合に「これは勝つわ…」と内心思っていたりしてたとかなんとか…


第4コーナーから撮影。スルスルと捲っていく様子に、1頭だけギアが違うかのような走りには驚愕した。
第4コーナーから撮影。スルスルと捲っていく様子に、1頭だけギアが違うかのような走りには驚愕した。

レースが始まって中団から進めていた彼女、第4コーナーに入ったあたりから一気に外から捲っていき勝利。見事に三冠達成をした。


三冠達成の瞬間を見届けた京都競馬場の観衆の盛り上がり方はすごいことになっていた。ウィナーズサークルに一気に人が押し寄せていて、皆健闘を讃えていた。私は勝ってからもなんとなくふわふわしていて、はっきりした感覚は無かったが、川田騎手が記念撮影の際に彼女の鞍上で片腕を天にかかげ、あの3本指を立てた。


三冠達成のあの例のポーズだ!あぁほんとに三冠馬がここで生まれたんだと、ようやくしっかり噛みしめられたのだった。

それ以降のレースは残念ながら現地で見ることは叶わなかったが、配信で見たりと追いかけていた。



彼女は注目されるだけあって、色々な情報が出ていた。

ジョッキーカメラの導入により鞍上からお嬢さんと呼ばれたりしてることが発覚したり、オークスではパドックの花を食べていたなんて噂があったり、ドバイで草を食べているところが動画になってたり。ネタが豊富だと、こちらとしても色々描くことに事欠かないので楽しく追わせてもらっていた。


そんな中、彼女の育成に携わっていた方から三冠達成を記念したイラストを描いてもらいたい。というお話をいただく。仕事が忙しくカツカツな状況の中だったが、喜んで引き受けた。


個人的に絵の仕事を用意してくれた馬としても、非常に思入れ深かったのだ。


今見るとポンポンの数多いですね…(SNSやサイトにUPの許可は得ております)
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しかし悲しい出来事は三冠馬である彼女にも降り注いでしまった。



令和の競馬ブームの真っ只中で、三冠という偉業を成し遂げた彼女には非常に多くのファンがいた。三冠ゲートの近くに設置されている献花台に向かうと、土曜でも非常に沢山の献花がされていた。黄色、赤、白、ピンク、様々な色の花達が、彼女のトレードマークであった髪飾りを思い出すようだった。


花を添えて、記帳を行う。既に心の整理はある程度済ませていたつもりだが、改めて彼女へ思い馳せる。最後にもう一つ冠を手にしてほしかったという気持ちは正直ある。だがやはり彼女の血を継いだ子たちも見てみたかった。


リバティアイランドへの献花台、記帳台は5月25日までJRAの中央競馬開催日にて競馬場に設置されており、ウインズ・エクセルにも記帳台が設置がされている。

また北海道のノーザンホースパークでは31日まで献花台が設置されている。入園料の一部は競走馬の医療発展のために寄付されるとのことだ。今後予後不良に繋がることが減るように祈りたい。










文:鷹月 ナト

編集:椎葉 権成・近藤 将太

著作:Creem Pan


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