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「馬を描くときってどこを見ているの?」そんな疑問の答えを考えてみた件について🐴


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馬のような謎の四足歩行生物「UMA」の産みの親である

イラストレーター・鷹月ナトが、

日頃の制作活動の舞台裏や、馬への愛を書き連ねる連載です。


先週あたりに色々あって取材を受けた。 自分の馬の関わり方とかそういう感じのお話を楽しくさせていただいたのだが、クリエイターとして馬を描く際にどこを見て気を付けているかという話となり、確かにその時一瞬


「そういえば…そう……(困惑)ですねぇ…」


という感じに…


いや気を付けてないっというわけではなく、ここらへんについては結構感覚になってくるため、いざ考えると気を付けてることを言語化しようとするとめちゃくちゃ難しい。スパっとすぐに話せないのもよろしくは無いのだが… その時は現時点で言語化できる範囲でお答えしたが、改めて整理の意味でも探ろうかと思ったのだった。



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そもそも馬を描く際はどういう馬を描くかを意識することが大事。


単純にサラブレッドを描くにしても、馬体の個体差があったり毛色が違ったりと様々。 また仔馬だったり年老いた馬でも見た目の違いが出てくる。


馬具とかメンコとかでわかりやすいようにしていることもあるが、いったん今回はそれは無しで進めていく。 馬に毎日関わっているホースマンなら既にわかる部分で当たり前だろ!なところもあると思うのだが、自分が気が付いた中でなるほどと思った部分を描いていく。


わかりやすく極端に描いてます。年老いてても全然良い体つきしてる馬もいます。
わかりやすく極端に描いてます。年老いてても全然良い体つきしてる馬もいます。

急いで描き起こしてみる。写真を見ながら描いてるが、上手く描くには実物や写真を見ながらが一番きれいに描けるのでそこはご了承いただきたい…


基礎的なバランスの話にはなるが、仔馬と大人の馬だけでも大分バランスが違ってくる。 産まれたてのとねっこたちは個人的な主観ではあるが結構アンバランスで、背高い軽トラックのような見た目をしている。

胴も短くギュッと詰まった形。地味に繋部分(蹄から一つ上の関節までの部分)がかなり立っていてあんまり寝ている子があまりいない印象だ。

大きくなるにつれて重さが加わり筋肉や腱の柔らかで寝てくるようになるんだろうか?


また産まれて間もないのもあり、たてがみや尻尾がまだ短く、尻尾に関しては犬の尻尾のようにプリプリしているのもとねっこだとわかるポイントでもあるだろう。

ベリーベリーかわいい…


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対して皆が見慣れる競走馬は非常にムキムキで仔馬の時より全体的にフレームが大きく、そして伸びた印象に。

首も胸も背もトモもトレーニングを積み重ねて大変マッシブとなっている。

個人的な見え方だが、競走馬って普通の馬がボディービルダーやレスラーをしているような感じだなと思ったり。


逆に競走馬じゃなければこんなにゴリゴリの筋肉は必要ない。功労馬や乗馬クラブでいる馬でこれだけ筋肉ある馬はいない。人を乗せて全速力で走るというためにここまで筋肉をムキムキにしている。


こう書くと競走してるしてない、そういう背景を知るだけでも馬の体の描き方は変わってくるのがわかってくれると思う。

雑に例えると壮絶な過去があり心に傷を背負ったまま生きてきたキャラと、何も苦労無く甘やかされて育ったキャラを作る時のデザインの差と同じような感じだ。


ムチッと書いてるとこにあるのが側頭筋。
ムチッと書いてるとこにあるのが側頭筋。

また馬はパッと見人間のように若い人だ!とか、おじいさんだ!みたいなのがわかりづらいイメージがある。正確に何歳とかそういうのは当てるのは大分難しい。

だが若い大人の馬と老馬でも人間のような年齢による見た目の変化は起きる。

若いうちはハリがあり、肉付きが良いのでそこまで頭骨の形が目立つ感じではない。


また草食動物なため草をすりつぶすための顎の筋肉が馬はかなり発達しており、目と耳の間あたりから側頭筋が出て、咬筋と共に下顎の骨を支えている。まだまだ食べ盛りの若い馬の側頭筋はムッチムチしていることが多いため、おでこあたりが丸く膨らんでいるように見えることが多い。

競走馬だと特にハミを受けていたりする都合上かなり膨らんでいる時も。


2023年京都記念のエフフォーリア、わかりやすく側頭筋が盛り上がっているのがわかる。
2023年京都記念のエフフォーリア、わかりやすく側頭筋が盛り上がっているのがわかる。

対して老馬は筋肉が衰えていき、肉も落ちていくため骨が目立ち始める。筋っぽさが鼻筋あたりに出てくるため、シワのように見えてくる。

また顎も衰えていくため、プリプリに丸みを帯びていたおでこあたりの筋肉も次第に陥没していく。

柔らかくしたり、飼料を砕いておかないと中々食べれない馬はまるで500円玉が入りそうなくらいのくぼみが出来ている子もいる。入れてみたい…


2002年菊花賞馬ヒシミラクル。まだまだニンジン丸ごと行けるくらい元気だが現役競走馬よりかは筋肉が薄い。
2002年菊花賞馬ヒシミラクル。まだまだニンジン丸ごと行けるくらい元気だが現役競走馬よりかは筋肉が薄い。



…と、まぁここまでツラツラ気づいたことを少し上げてはみたものの…

まずそもそも普通の馬自体描くのが難しいのと、




UMAで描く時はデフォルメ効きすぎてしまって一部以外ほぼほぼ要素として取り入れられないんですけどね…!!!



悲しいかな…ただ知ってる知ってないで描くニュアンスは変わりますので、雰囲気で伝わっているといいなと常々思ってます。そしてまだまだ勉強中の身、もっと上手く描いてあげたい…


今回は手始めに年齢による描き分けや雰囲気の出し方みたいな話になったが、もちろんまだまだ他にも別の描き分け方だったり、何がどう個体差を出してるのかみたいなのを探すかというのもある。

またその馬の性格とかキャラ性をしっかり出して描くということもあるので、そういう話も絡めつつ、また次回以降絵の話もやっていきたい。



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文:鷹月 ナト

編集:椎葉 権成・近藤 将太

著作:Creem Pan


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