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いざ実践!四万十川馬遊びで得難い体験をしてきた件について🐴🏞️


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馬のような謎の四足歩行生物「UMA」の産みの親である

イラストレーター・鷹月ナトが、

日頃の制作活動の舞台裏や、馬への愛を書き連ねる連載です。


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翌日、川馬遊びは午後から開始となるため、午前は四万十川の観光をしていた。

四万十は海側の河口付近以外はほぼ山で形成されており、川に沿いながらの道路が多い。

そんな山の中で食料を確保するため、川での漁業が行われた。ウナギやアユ、また手長海老といった淡水の魚介たちが名産である。

また道沿いの細い隙間に小さい田んぼが作られていたりと、狭い土地を無駄なく使い、工夫されている。

時期によっては夜になると蛍の群れが飛び交い、とても幻想的な風景を見せるのだとか。



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時間調整のために近くの道の駅で休憩し、良い頃合いになったのでいざ牧場へ。


車が1台分しか通れない幅の道路を使い、対向車が来ないことを祈りながら進んで行くと、少し開けたところに出る。開けた場所は栗の木がたくさん生えており、道路にもゴロゴロ栗が棘つきで落ちていた。


栗の木。畑になっているそうだ。
栗の木。畑になっているそうだ。

Googleマップではこの辺りのはず…と思いながらウロウロしていると、1人の女性の方が柴犬と共に駆け寄ってきて「ご予約の方ですか?」と声をかけていただいた。この方が四万十馬牧場のオーナーさんである浦宗さん。

この高知の四万十川の側でヨナグニウマを飼育されているホースマンだ。そして柴犬はわくくん。人懐っこく、とても元気。


車を誘導していただきつつ、川馬遊びの準備をする。


川に入るため濡れても良い格好に着替え、ライフジャケットを借りる。いざ川馬遊びを行う場所へ…



放牧地を抜け、栗林を抜けた先に行くと笹林のようになっており、まるでトンネルのようになっていた。

そのトンネルを抜け、下っていくとプライベートビーチならぬ、プライベートリバーが!

目の前の四万十川に呆気を取られていると


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奥の方に



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馬が!!!




四万十馬牧場にて繋養されているヨナグニウマがそこに2頭いた。

今回私たちと川遊びに付き合ってくれる2頭の馬たち。名前はククルくんとアヅキちゃん。


紹介と注意事項を聞いた後はいざ川馬遊び。まずはククルが最初に浦宗さんと共に入り、後から私たちもついていく。柴犬のわくくんは川岸で留守番。

川の温度はあんまり冷えてない水風呂みたいな感じで最初だけ冷たいッとはなったが、だんだん慣れてきて心地よくなっていった。

馬に乗る方と、尻尾に捕まる方と別れるため、先に私が馬の背に乗ってみた。


鞍とかはつけず(鞍は革製のため、水厳禁)裸馬の状態で乗る。なんだかんだで裸馬で乗るのは生まれて初めて。緊張しながら川の中で浦宗さんに補助してもらいながら馬に乗っかる。


おぉ…なんかすごく尻の間に馬の背骨が食い込んでフィットしているような…


ククルくんと裸馬の状態で背中に乗っている私。ド快晴。
ククルくんと裸馬の状態で背中に乗っている私。ド快晴。

ヨナグニウマは背中が少し角があり、背骨が少し浮くような感じで山のようになっている。そのため乗用馬たちと比べて裸馬の状態だと人間のお尻にフィットしやすいとかしないとか。

裸馬の状態で乗っかりながら川を歩き始める、浦宗さんが引き馬をしながら進んで行くのだが、ゆっくりなものの、結構足に水の抵抗を受ける。


あっすごい。


これは。



楽しいぞ…


後ろの尻尾をもって引っ張られている友人。
後ろの尻尾をもって引っ張られている友人。

水の抵抗を受けるのもあるのと、裸馬のバランスで落ちないように動かないといけないので割とヒヤヒヤしながらのレジャー感覚に。だが普段の乗馬と違って落馬しても水の中なので痛みはない。過去にはお客さんが背中からジャンプして川に飛び込んで遊ぶこともやったりしたようだ。

遊び方は千差万別である。

四万十川は天気が良いと穏やかな川なので、流れがキツくなく落ちても流されにくいのがレジャーのし易さに繋がっている。


(一応)馬乗りの端くれである以上は落ちたくない一心で頑張って太ももで馬体を挟み込み、たまに鬣を掴ませてもらいながら川を歩いていった。(今思えば体験として落ちてみても良かったかもしれないと後悔もしつつ…)


後ろの友人は尻尾を掴んだまま流されながら引っ張られている。こちらも非常に楽しそうだ。

一定のところまで歩いたら方向転換をして今度は逆向きに進んでいく。

その際尻尾を掴んでいる側は川の中でドリフトする形になり、ゆっくりと方向回転をしていても水の抵抗を受けて割と吹っ飛びやすい。吹っ飛んでた。



今度は交代して自分も尻尾を掴んで流されてみる。サラだと慣れていないと尻尾を掴むことすら億劫なイメージがあるが、在来馬たちの穏やかな性格のおかげか、蹴ることもなく、嫌がるそぶりもなく掴ませてもらっている。


尻尾掴む側はドリフトする時以外は乗るより楽なように見えるが、たまに川の中で馬がフンをすることも。タイミング次第では尻尾側はモロにそれを受けるらしい。

ネタとしてあまりにも強烈すぎる。川なのですぐ洗えるのが良いところか。今回はウンが良かったのか無かったのかそうはならなかった。


先日の雨の影響で少し濁りが強いが、本来はもう少し透明度が高いのだとか。
先日の雨の影響で少し濁りが強いが、本来はもう少し透明度が高いのだとか。

馬の交代となり、もう一頭のヨナグニウマのアヅキちゃんに乗り替わる。


順番変わらず私が先に乗ってみると、おや?さっきと尻のフィット感が変わっている?


アヅキちゃんは純粋なヨナグニウマではなく、別の品種の馬の血も入っているとのこと。

その分先ほど乗らせていただいたククルくんと比べ、体が一回り大きく、背中も乗用種のように丸くなっているのだとか。品種の血の影響によってここまで顕著に体の差が出ているのはとても面白いと感じた。


他のお客さん達の話ではククルくんの方が馬体的に乗りやすく、アヅキちゃんはバランスボールのように胴が丸いため、ちょっとバランスがとりにくいとのことだが、自分は普段サラで乗馬してるのもあってなのか、アヅキちゃんの方が乗りやすいと感じた。ここら辺は個人にもよるだろう。


アヅキちゃんはククルくんと比べるとまだまだ若いヨナグニウマで今年で3歳。経験はまだ浅いが、力強さを感じつつも大人しくしっかり仕事をまっとうしてくれた。


岸から。たてがみが明るい方がアヅキちゃん。
岸から。たてがみが明るい方がアヅキちゃん。

レジャーを楽しみながら色々お話を伺う。そもそも何故この高知の四万十でヨナグニウマを飼い始めたのか?

元々高知が故郷であった浦宗さん。仕事で沖縄の久米島にある「久米島馬牧場」で働きながら馬のことを学び、ヨナグニウマの保護活動も行っていたという。

久米島馬牧場にて働いていた際に10年間面倒を見ていたのがククルであった。

故郷で町おこしをしたいという夢を叶えるべく、高知に戻るとなった際に、長年面倒を見ていたククルを譲ってもらえることになったのだが、やはり1頭だけだと寂しがるだろうということで、もう1頭一緒にいただいたのがアヅキだったという。


四万十に2頭のヨナグニウマを連れて帰り、試行錯誤しながらの日々を過ごす中、やはり普通に繋養するだけではどうしてもお金がかかってくる。そこで2頭の出来る範囲で、尚且つ四万十ならではのお仕事を。ということで四万十馬牧場が生まれ、川馬遊びも生まれたという。


川遊びを終えたあとは河岸に戻る。ククルくんが濡れた体を乾かすためになるべく土がある側でゴロゴロしはじめる。石の上だと痛いもんな…そうだよな…


豪快にゴロゴロするアヅキちゃん。奥にいるのがわくくん。
豪快にゴロゴロするアヅキちゃん。奥にいるのがわくくん。

いや君は石の上でもするんかい。


ジャラジャラと砂利の音を奏でながらのかなり逞しいゴロゴロであった。




仕事を終えたあとは浦宗さんとわくくんと共に放牧地に戻っていく馬たち。

海遊びではないので、多少汚れや濡れたところは真水で洗いはするものの、後々痒くなったりしないのが川遊びの有難いところである。


川馬遊びに参加する方のほとんどは県外の方だという。初心者でも参加できるので、初めて馬に乗る方でも楽しく遊ぶことができる。四万十川の美しさの中で馬と触れ合いながら遊び、そしてヨナグニウマのことを知ってほしいと浦宗さんは語る。


四万十川でわくくんと戯れる我々と手前にいるヨナグニウマの図(情報量)
四万十川でわくくんと戯れる我々と手前にいるヨナグニウマの図(情報量)

ヨナグニウマと聞くと沖縄のイメージが強く、そこでしか会えないのではと思いがちだが、保護活動のおかげで数が少しずつではあるが戻ってきており、もっと知ってもらうためにも沖縄以外の乗馬施設で繋養されたり、個人で飼育されたりと本州でも見れるようになってきている。


日本最後の清流が残る高知の四万十川。この美しい自然を使ったレジャーは様々。その中に馬のレジャーがあるのは四万十川のポテンシャルと、ここで馬と共に生きることを選んだ人間の努力の賜物だろう。四万十へ行く機会があれば是非行って見てほしい。

(川馬遊びは夏シーズンのみ。それ以外のシーズンは引き馬や馬に乗りながら河原散歩ができます)



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文:鷹月 ナト

編集:椎葉 権成

著作:Creem Pan


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