推し馬エイティーンガールへの愛が実り、オーナー公認の専属イラストレーターに!by まきのよしきさん
「withuma.」vol.36 まきの よしきさん
Profile
お名前:まきの よしきさん
ご年齢:33歳
居住地:東京都
Twitter:@makimiracle74
第36回は、エイティーンガールの専属イラストレーターを務める、まきの よしきさんです!
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
まきの よしきさんの「withuma.」
私と馬との関わり方は、イラストを描いたり、グッズを作ったりして応援することが中心になっています。
無論、取材無しではイラストも描けないので、友人に連れてもらい、乗馬クラブを訪ねたりもしています。
そして、エイティーンガール専属イラストレーター兼カメラマンとして、一昨年から去年にかけては各地を駆け巡りました。
馬を描き始めたキッカケは、子どもの頃憧れていた馬絵師さんが居て、その方に近づきたくて馬を描いていました。(今でも私の師匠として関係が続いています。)
その方が2足歩行の馬を描くことに非常に長けていたこと、当時読み始めた、『馬なり1ハロン劇場』や『電撃6ハロン』と言った漫画も読んでいた影響もあり、2足で歩くコミカルな馬だけを描いていました。
中学2年生の冬に一念発起して、『競馬月刊誌優駿』に初めて投稿したのですが、その時のイラストが初掲載で大賞となり、当時の読者ページの扉絵を飾りました。
馬が2足で歩き、歌を歌い、楽器を演奏して、馬の客がペンライトを振る・・・という独特の世界観にイラストで、これは現代のウマ娘に通ずるものがあると思っています。
ただ、もう一度同じものを描いてと言われても、絶対に描けない自信があります(笑)
これを機に、私のイラストレーターとしての快進撃が始まった…訳ではありませんでした。
大賞受賞から1年、投稿したイラストが落選し続け、自信を失った私は一度投稿を辞めてしまいました。
細々とイラストを続ける中で、画材をコピックマーカーに変更し、忙しい学業の合間に、息抜きで当時走っていた競走馬を描く日々でした。
その後、社会人になったことを機に、再び『優駿』に作品を投稿してみると、なんと作品が掲載されました。
7年ぶりに載ったことで自信を深め、そこから様々な競馬雑誌への投稿活動を再開しました。
結局投稿活動は10年続け、そこで一つの区切りをつけましたが、多い時は年間で12作ぐらい掲載していただきました。
僕は独学で絵を描いているので、技量ではとても敵わないからこそ、アイディアを駆使してイラストを描いています。
投稿をしていた頃は、とにかくウケることを重視して、ネタにする馬や題材を選んでいましたが、投稿晩年になると「誰かの心に残る絵を描きたい」と思い、友人の一口馬主の馬や知人の馬主さんの馬を描くこともありました。
掲載された雑誌を求めて、多くの方に書店へ訪れていただいたり、中には素敵な感想を頂くこともありました。
競馬雑誌に投稿することは僕の全てでした。
今はSNS隆盛の時代と相成っています。
けれども、雑誌で掲載されることで作品を見てくれた人が居たことも事実でした。
一口馬主の出資者と繋がり、イラストでトートバッグやTシャツを作り、レースを応援することもありました。
その馬の魅力を精一杯引き出して、見た人が笑顔になる、幸せな気持ちになれるイラストを描きたいと願っていますし、全ては馬と馬を支える人の力になるために、という気持ちで取り組んでいます。
また僕自身も可能な限り取材をし、目で見たり、肌で感じた情報から描くように心がけています。
今後は、見た人がホッとする、優しい気持ちになるイラストを描いていきたいと思っています。
そして、これは去年の夏に長瀬智之画伯(サラブレッド専門の画家で、JRA顕彰馬の肖像画などを担当されている方)から教えて頂き、以来、「選んだ馬をより良く描こうとすること」ということは大事にしたいと考えて筆を走らせています。
どうすればその馬の魅力を引き出せるか、色々な視点を意識して描いていますね。
時間が少し巻き戻りますが、私が馬を好きになったきっかけをお話しします。
それは、1頭の月毛のアパルーサとの出会いでした。
小学生の頃、両親に連れられて長野の田舎に帰ると、近所の空き地に1頭の馬が居ました。
ちょうどその頃は私が競馬を見始めた時期で、馬に興味津々だった私は、帰省する度にその馬に会うため、空き地を訪れていました。
人参やリンゴを持って会いに行き、美味しそうに食べる姿や、撫でた時の手触りがたまらなく心地よかったことを覚えています。
やがて通い詰めるうちに、オーナーのご好意で、その馬に乗せて頂くことになりました。
馬上からの景色は格別であること、背中の揺れと足音のリズム、馬に乗ることは本当に楽しいことなんだと実感しました。
空き地から祖父母の家まで、ひき馬の外乗で訪れたこともありましたし、何度も何度も乗るうちに勝手に馬装の仕方を覚え、勝手に自分で乗ることもありました。(もちろん、とても怒られました)。
大人しい馬であり、賢く、子どもにとても優しい馬でした。
帰省の間の、本当に限られた時間しか会うことはできませんでしたが、“馬の魅力”は全てこの馬から教わりました。
紆余曲折を経て、その馬が今どこで何をしているかはわかりません。
けれども、もし、もう一度会えることが叶ったならば、私はそのアパルーサと一緒にリンゴを食べたいと思い、今回イラストを描き下ろしました。
恐らく彼女は、リンゴを食べ終わったらグイッポを始め、退屈そうにしている。
そんな未来が私には見えます。
いつかこの馬を題材にした絵本を描いて世に送り出すことが、僕の夢です。
輝かしいイラストレーターデビューからの試練…そして7年越しの復活。
まきのさんの遍歴と、画風の変化なども含め、とても興味深く読ませていただきました。
絵にもいろいろ種類があると思いますが、まきのさんのように、模写ではなくオリジナルで描かれているイラストは、その馬の特徴や置かれている環境、周りの人々などの要素を、どのようにイラストへ反映していくのか、そういった部分が面白く、同時に難しいものであると感じました。
「全ては馬と馬を支える人の力になるため」、ポリシーをイラストで表現していくとのこと、大変素敵です。
また、アパルーサとの出会いも数奇な運命の巡り合わせですよね。
今回描き下ろしていただいたイラストから、アパルーサの彼女が、まきのさんにとってどれほど尊い存在であったのか、とても明瞭に伝わってきました。
夢のお話が、いつか現実になり、手にとって読める日を楽しみにしております。
まきの よしきさんの「Loveuma」
私の好きな馬は、エイティーンガールです。
イラストレーターとしても、一人の競馬ファンとしても、私にとって本当に特別な馬です。
若菜賞を勝利した頃から追いかけ始め、一口馬主の出資馬であるアルモニカという馬とも一緒のレースを走りました。
そのレースで勝利を収め、いつか重賞を取れる馬であると確信し、さらに熱量を入れて応援し続けていました。
そして2020年のキーンランドカップ、ついに彼女は先頭でゴールを駆け抜けました。
当時はコロナ禍の真っ只中であり、無観客競馬の中での勝利でした。
口取りもなく、少し寂しい重賞初勝利になりました。
そのような背景があり、勝利をお祝いしたい気持ちから、イラストを描いて雑誌に投稿したくなりました。
勝利から4日後、Twitterでエイティーンガールの関係者様と思しき人を発見し、取材をさせて頂こうとやり取りを始めたところ、それがオファーに変わりました。
その後、イラスト制作を経て、エイティーンガール専属イラストレーターの肩書を頂きました。
それから1年後、エイティーンガールは京阪杯を勝利します。
現地で勝利を見届けることができ、感動に浸っていると、優勝記念トートバッグの作成依頼を頂きました。
忙しい納期とプレッシャーはありましたが、関係者の方々の熱いエールもあり、何とか完成しました。
このトートバッグは馬主様をはじめ、関係者様から大変好評を頂いています。
また、様々なマスメディアでプレゼント企画がありました。
競馬を好きで、絵を描いていたことが1つの円・・・というか縁になって結実したのが、エイティーンガールとのエピソードですね。
彼女の存在を一言で表すのならば、「競馬の神様からの贈り物」でしょうか。
エイティーンガールの1ファンから、専属イラストレーターへ。
推し馬への愛を表現する方法も人によって様々ですが、まきのさんなりの形として、イラストの制作によって応援の気持ちを表現されたのですね。
また、オーナーから優勝記念グッズの発注をいただけたというお話は、ファン冥利に尽きることだと感じました。
私も応援している陣営や牧場さまからお仕事をいただけることがあったならば、一端のクリエイターとして、ファンとして、それほど嬉しいオファーはないなと、想像します。
馬は人と人を繋いでくれる、ご縁の架け橋のような存在ですよね。
私も馬を通して、いろいろな方に出会うことが出来ましたし、これも馬の持つ大きな魅力の一つであると感じています。
引退馬問題について
非常に難しい問題であると思いますが、馬や携わる人たちの力になるためにできることは多くあると思います。
お金を寄付するだけでなく、乗馬クラブや牧場に出向くこと(無論マナーは守った上で訪問する必要がありますが)等、色々な方面で力になれることは多いと思います。
引退馬のための活動については、間接的ではありますが、うらかわ優駿ビレッジAERUさんで僕のイラストのグッズが販売されています。
AERUとの出会いは、子どもの頃に家族旅行で何度か泊まったところから始まっています。
ダイユウサク、ニッポーテイオー、ヒシマサルが存命だった頃から訪ねていまして、非常に良いホテルであると両親も気に入っていました。
朝の空気も、食事も、非常に美味しいです。
眠い目をこすって頑張って起きれば良いことがあります。
AERUとの繋がりは、ダイユウサクとニッポーテイオーをモデルにしたイラストを『優駿』に載せて頂いたことがキッカケでした。
その原画を、「いつかAERUさんに届けねば」と思っていました。
そんな折に、ホースギャラリーが開設されるとの報せがあり、すぐにAERUさんへ原画を送りました。
当時のギャラリーは、再現馬房内に設置されていたのですが、丁寧に飾って頂き、非常に嬉しかったことを覚えています。
この絵は、今のホースギャラリーにも飾られているので、訪問された際はぜひ探してみて下さい。
AERUに訪問した際、乗馬課マネージャーの太田さんから「新作を楽しみにしています」と言われました。
そしてその翌年、SNSのアイコンを公募する企画が行われ、「ああ、これで太田さんに新作のイラストを見せられる!」と思い、筆を取りました。
アイコンの事をすっかり忘れて、太田さんのために描いたイラストでした。
このイラストの馬の並びや、蹄鉄のモチーフ、この背景にAERUへの思いを全て詰め込みました。
企画から数週間後、太田さんから連絡があり、「この絵をグッズにしたいのですがいいですか?」というご提案をいただきました。
私の方も、「AERUの馬たちのお役に立てるのであれば!」と快諾。
すると、このイラストはグッズになる前に新生ホースギャラリーの看板になりました。
動画とブログでその光景を目にし、「すごいことになった」と、しみじみ感動しました。
グッズ化も順調に進み、キーホルダー等のサンプルが届いた時は本当に嬉しかったです。
そして家族旅行を兼ねて、浦河まで勇んで買いに行ったところ、キーホルダーが到着する直前に売り切れてしまったという報告を受けたことも良い思い出です。
程なくしてウマ娘のブームが起こり、ウイニングチケット等々の馬たちに会いにくるファンの方が増え、ネットニュースなどでグッズを見かけることも増えました。
時々Twitterで、キーホルダーの画像を見かけることもあります。
グッズを買うことでも、馬やスタッフを支える事ができると感じています。
引退馬の為にできることは沢山あるし、例えば私のように自分の絵や趣味が突破口になることもあると思います。
そして何より、そうしたグッズが皆さんの旅の思い出の一端となり、馬に興味や関心を抱いて頂けると嬉しく思います。
皆様、是非AERUさんに足を運んだ際は、売店に販売されているグッズをご覧いただければ幸いです。
ちなみに私は、紺野さん(AERUのスタッフ、withuma.vol.33に登場)のイラストが描かれている、スタンドピンと缶バッジが特にお気に入りです!
直接的な解決策だけでなく、イラストを描いたり、馬の魅力を発信することでも、引退馬に貢献できるのではないかと思っており、まずは興味や関心を持つ事から始めるのが大切だと思っています。
引退馬への支援は、何かたいそうなことをしなくとも、例えば馬のイラストや動画をRTして、馬好きを増やす、馬文化を広めていくというだけでも、立派な支援の一つだと考えています。
まきのさんの仰るように、グッズを買ってみるというのも支援の一つのカタチですよね。
私もAERUさんには昨年の9月に訪問しましたが、夜は満天の星空、朝は馬を見ながら散歩、そして日中はトレッキングも楽しめて、馬好きにとってはまさに理想郷でした。
馬に特段興味がない方でも、旅先で訪れて、可能であれば宿泊までしてみるのをオススメできるくらい、とても心地よい場所です!
読者の皆様も、AERUに行かれた際は、是非まきのさんのイラストやグッズをご覧いただき、写真を撮ってSNSなどにアップいただけると嬉しいです!
今回は、エイティーンガールの専属イラストレーター、まきの よしきさんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。
リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。
今後も「withuma.」を通して、引退馬問題前進の一助となれるよう、微力ながら馬事産業・文化に携わる人を発信していきますので、是非皆さまからのご応募をお待ちしております!
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協力:まきの よしきさん 取材・文:片川 晴喜 編集:平本 淳也 著作:Creem Pan
二足歩行の馬、好きです。🤭
キクコさんのイラスト、なかねっちさんの4コマ漫画、ステイゴールド一族など。
馬は仕草や表情と相まって感情豊かな動物であることがわかるのですが、敢えて「目」だけを集中的に見つめてみると、ちょっと違った印象を受けます。
何というか、喜怒哀楽を超越した「純粋な無心」を感じる。私たちの内面まで隈なく映し出すような澄明さをたたえながら、しかも取りつく島がない。鏡に感情がないように。
AERUのホースギャラリーを飾ったまきのさんの絵の中に、そんな目をしたお馬さんがいます。とってもかわいいんだけれど、澄んだ瞳の中には解けない謎がある。そこに映るのは、はるかな草原か、広がる大空か.....
軽やかで親しみやすく、同時に果てしない物語を感じさせる作品ですね。(太田さんの目は確かだった!👏😃)
アパルーサの絵本、楽しみにしています❗️
いつか、お母さんになったエイティーンガールのことも書いて(描いて)ほしいな。
2020年のキーンランドカップ、うなるような勢いの追い切りと、重馬場上等(?)の本番の末脚、忘れられません。👏👏👏