放牧地を快適空間にするために…!でもタッチデュールは放牧に行けずブーイング?
北海道新冠町にある、引退馬の牧場ノーザンレイク。
そこで毎日を過ごしているライター・佐々木祥恵が、
馬ときどき猫な日々を綴ります。
11月21日から23日まで、放牧地横の用水路工事が行われた。大々的に重機が動く工事初日だけ全頭の放牧を止めて、舎飼いとなった。初日は雨が降ったり止んだりの天候だったので、ちょうど良かった。ただ放牧に行けると思っている馬たち、特にタッチデュールが馬房の中で落ち着かなくなるのではないかと気がかりだった。

女子チーム放牧地横の用水路工事
重機が長年に渡って堆積した土砂を取り除き、深く掘っている
この時期は6時台に馬の様子を確認に行き、一旦部屋に戻ってコーヒーをすすり、人参を切って、洗濯機を回す。7時頃に厩舎で作業を始めて、放牧に出すのが7時半頃だ。だがこの日は作業開始自体を1時間ほど遅らせた。
厩舎の足を踏み入れると「もう放牧の時間ですけど?」とでも言いたげに5頭が一斉にこちらを向く。そしてデュールが熊癖(ゆうへき)をしながら、低い声で催促するように鳴いた。「今日は放牧休みだよ」と説明してみたが、デュールはお構いなしに左右に行ったり来たり。皆食べ物には弱いので、飼い葉を持っていくと夢中になって食べ始め、とりあえず静かになった。
放牧時間に外に出られずソワソワ気味の馬たち
皆にはまず乾草が配られた
乾草に口をつけてみたものの、やはり落ち着かないタッチデュール。
この後、飼い葉を食べて落ち着いた
こちらはその間、水桶の水を替える。続いて川越が馬房掃除を開始。馬が馬房内にいるので、通常のように大々的にはできないが、できる限りボロ(馬糞)を拾い、尿で汚れた部分を取り除く。そして最後に減った分の敷料を足して完了だ。この日は雨降りだったので、できる作業も限られる。少しだけのんびり気分を味わった。当然メトも雨は嫌いなので、厩舎そばの休憩室の座布団の上でスヤスヤ寝て過ごしていた。重機が用水路を深く掘っている音と厩舎近くを通ると「外に出せー」「ご飯をくれー」と低温で鳴くデュールの声以外は、静かな1日だった。
厩舎内で毛づくろいをしてから、休憩室に移動してスヤスヤのメト
聞き取りづらいかもしれないが、デュールはいつもこんな風に鳴いて催促する
ところで最近のメトは、日中は家に帰らず休憩室で寝ていることが多い。チビがメトにちょっかいを出したり、家の中を走り回ったりして、安眠を妨害しているからだと想像する。チビはメトが大好きなので、私が家に戻ってくると玄関近くまで来てメトも一緒ではないかと探すのだが、いないとわかるとがっかりしているように見える。チビには気の毒だが、こればっかりは仕方ない。可哀そうなので、家事や仕事の手を止めてしばし猫じゃらしで遊ぶ時間を極力作るようにしている。メトは猫じゃらしにはすぐ飽きるが、チビは真剣そうな目をキラキラさせながら飛び跳ねていて、その姿を見ていると家族に迎え入れて良かったとつくづく思う。
猫じゃらしと真剣に向き合うチビ
3日間に渡った用水路工事が終わり、大雨の日などに放牧地に水が流れてくる心配がなくなった。おかげで放牧地の奥にできた水たまりも日に日に小さくなっている。あとは水たまりが完全になくなるのを待つばかりだ。ただ用水路から水が入らなくなっても、泥炭地なので水はけが悪いには変わりはない。暗渠(あんきょ)を入れれば、放牧地の水が外に流れてかなり改善されるとのこと。来年春には暗渠工事をしてみようかと川越とも話し合い、広い放牧地の牧柵を回すのと一緒に見積もりを出してもらうことにした。どこまで牧場に手を入れられるかわからないが、馬も人も快適に過ごせる空間を目指して、少しずつでも前進していきたい。


堆積物が取り除かれ、整備された用水路
工事3日目。雨が降るたび用水路から水が流れ込んでできた水溜りも少しずつ解消
間もなく12月になるが、以前お知らせしたノーザンレイクを支援してくださる方のノーザンレイク公認のネットショップ「Northern 3741」がオープンした。現在はクリスマスやお正月にピッタリのグッズが売られている。早速注文も入っているとの報告もあった。利益はすべてノーザンレイクに寄付してくださるとのことで、感謝の気持ちでいっぱいだ。いただいたご寄付は馬や施設整備のために使用する予定で、暗渠や牧柵工事費用にも役立てるつもりだ。既に注文がかなり入っており、現在販売中のクリスマス用品やお正月飾りはほぼSOLD OUT状態のようだが、この機会に是非覗いてみてほしい。新しい商品が追加になったら、こちらでもお知らせする予定だ。

いち早くSOLD OUTになったホースフレーム

メトちゃんと蹄鉄のクリスマスアレンジ&タッチデュール

フレッシュコニファーのクリスマスリース&タッチノネガイ
(つづく)
【ご寄付について】
ノーザンレイクでは運営資金のご寄付を受け付けております。
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馬と人が快適に過ごせる牧場を目指していきますので、今後ともよろしくお願い致します。
また口座振込でご寄付いただきました方々にお礼のメールを差し上げたいと思っております。
可能であれば、寄付された旨を下記アドレスまでお知らせいただけますと幸いです。
寄付口座
苫小牧信用金庫
新冠支店
普通 1510035
川越 靖幸(カワゴエ ヤスユキ)
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協力:ノーザンレイク・認定NPO法人 引退馬協会
文:佐々木 祥恵
編集:平林 健一
著作:Creem Pan
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うちにも昔、チビたんと同じ複雑なキャリコ柄の「サビ猫」がいました。名前はシャーリー。
写真が古いからわかりにくいかな?
動体視力が人の4倍優れているという猫の中でも、シャーリーはまた格別で、他の猫の追随を許さぬ素晴らしいハンターでした。(庭に来るスズメさんには大変気の毒だった…😓🙏🏻)
〔Shirley the Huntress〕
猫じゃらしの動きを正確に追うチビたんの様子にも、優秀なハンティング能力の片鱗が見えます。
獲物役のメトにいちゃんが帰宅するまでに、さらに腕を磨いておきましょう。😈
ネットショップを訪問させていただきました。
いや、皆さん早いこと早いこと。(SOLD OUTばっかりじゃないですか!😅)
かろうじてクリスマスリースを購入できましたが、今後も注文者全員の希望どおりにこの祝祭グッズを作っていたら、遠からずノーザンレイクの常緑樹が丸裸になってしまうのではないか?と心配になるほどの人気ですね。😳
今年でなくてもいいけど、いずれ松ぼっくりや枝葉や木の実という素材のみの「リースキット」の販売も試してみられたらどうでしょう?
購入者が思い思いのデザインでリース/オーナメントを制作し、その画像をノーザンレイクダイアリーのページに投稿してもらうことにしたら?(できれば「投稿者の中から抽選で3名様にメトチビの足形やドトウの鼻形付きクリスマスカードが届く」などの特典もほしい)
デュールさん、せっかく笹の葉という珍味を発見したのに、放牧休みはじれったかったでしょうね。「外に出せー」「ご飯をくれー」のブーイングが切なくも可愛い。🥰
冷涼泥炭地の牧場づくりは色々と工夫が必要だと思いますが、スコットランドやアイルランドの日高より条件が厳しい地域でも、粗放牧の牛・馬・羊たちがモクモクと草を食べてたくましく生きていますので、ノーザンレイクの皆様もどうか(ほどほどに)頑張ってください!