人馬ともに安全第一🌡️💦 この夏の暑さ対策を考えてみた件について🐴
- Loveuma.
- 9 分前
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馬のような謎の四足歩行生物「UMA」の産みの親である
イラストレーター・鷹月ナトが、
日頃の制作活動の舞台裏や、馬への愛を書き連ねる連載です。
連日暑い日が続いている日本。
命が危ないレベルの気温がとてもつらい状況下である。だが危ない目にあってるのは人間だけではなく他の生き物も同じ。
場所によってはセミは真昼間に鳴かず、蚊も暑い日差しの中では飛ばないような状況。いや個人的にはありがたいかもしれない…?とは言え外出ると汗が滝のように出てなにもかもぐっしょりなのはやはり困る…
そういう中、人と関わっている馬たちはどうしてるのだろうか?馬も同じ生き物であり、なおかつ暑さに弱い生き物だ。熱中症にもなるため、暑い時期は対策が必要になってくる。
乗馬クラブで経験したこともあることを混ぜつつ、いくつか対策例を挙げていきたい。
①運用時間を減らす。

これは競馬、乗馬クラブ等で行われている。馬を実働させる時間帯をなるべく一番暑くなる時間から避ける。これによって人も馬も気持ちマシな時間に動かすことが出来る。
実際競馬では夏開催時は北海道の競馬場以外の開催場所では暑熱対策として競争時間帯の拡大を
行っている。休止時間を設けて昼間は走らせず、メインレースを11Rではなく7Rに移動させ普段のメインレースの時間帯に合わせることを行っている。
(まぁ今週からは元に戻るのだが)
しかし今年は北海道もかなり暑くなったため、もしかしたら今後は北海道の開催でも時間帯が変わる可能性がある。
乗馬クラブもクラブによるとは思うが、暑くなる時間帯は行わない、そもそもこの時期はレッスンを行わない等の対策を行っている。

しかし、それでも尚暑い故にナイター開催を行った方が良いという声も散見される。
実際地方競馬ではナイター開催があり、夜の競馬を楽しむことが出来る。それを中央でもという声は確かにわからなくはない。実際中央競馬のナイターは見て見たい気持ちはあるし、人馬の体調を考えるとその方が良いかもしれない。
地方競馬で最大級の競馬場である大井競馬場のコース全長は1600mに対し、中央の夏開催時の競馬場である札幌競馬場では芝コースでは1640.9m。新潟だと外回り2223m。一部形状が異なってくるレース場もあるが、大きさだけであれば、同じように行けるんじゃ…と思ってくるかもしれない。
だが中央はダートだけでなく芝両方とも照らさないといけない。またナイターをそもそも行う想定の作りではないため、実際やろうとなるとかなりの施設投資と電力がかかってくる可能性がある。
そして、ナイターを行うことで従業員、厩務員たちの働く時間帯についても問題が出てきたり、開催日が土日よるため観客の集客率の影響、交通機関の問題や、周辺住民の折り合い、地方競馬との兼ね合い等多くの問題が山積み、現状はナイターを行うことは大変厳しい状態ともいえる…
②スポーツドリンクを飲ませる。

実は暑い日や調教後にスポーツドリンクを混ぜた水を飲ませているところもある。競走馬用に馬用のスポーツドリンクが作られていたり、粉末の市販の人間用スポドリを混ぜて飲ませたり。
よく人間の食べ物をペットに与えるのはよくないという話がある。だがそれは小動物と人間の内臓の構造の違いや、体積、体重が関係していることが多い。
人間よりも何倍も体積、体重がある馬では与えることが可能な部分も多いのだろう。
(もちろんダメなものもあるので、ここらへんについては獣医師や専門の人に聞くのが一番良い)
だが慣れるとそればかり飲もうとして普通の水を飲まず糖分、塩分過多になってしまったり、逆に飽きて飲まなくなるということもあり、個体によっては中々難しいところもあるようだ。
③体を冷却させる。

熱中症対策としてまず体を冷却させる、これが一番大事である。
馬も調教後やレース後、レッスンの後は馬も汗だくで体が熱々になっている。なので水をかけて冷却をさせる。方法としてはシャワーのついている洗い場に連れて行き、上から水を射出したり、ホースやバケツで直接浴びせ続ける等。
かけている際にドリルのようにブルブルされて、かけてる側もビチョビチョになるのはご愛敬。
また扇風機をあてて風で冷却することも多い。馬によってはずっと扇風機の前から動かない子いたり、お尻を当てている子もいたり…厩舎の廊下に巨大なものを設置して風通りを良くしたり、馬房ごとにつけたりと色々工夫されている。
また水で冷却させる際、年配の馬には急に胸あたりをあてるのは良くない場合も。足先やお尻あたりの体の中心部から離れているところからじわーっと当てて慣らしながら冷却しないと心臓に負荷がかかり、命を落とす可能性があるためだ。
ここらへんはサウナ後に水風呂に一気に入って整いすぎて大変なことになるのと同じだろう。
また水以外にも馬用に首に巻く冷却ネックや冷却馬着も存在しており、これをつけさせているところもある。
④毛刈りをする。
これは長毛になる種や年配の馬に行うことが多い。年配の馬はクッシング病を発症すると夏でも冬毛が出てきてしまうことがあり、季節外れのもこもこになってしまうことがある。
その際は投薬治療を行うか、バリカンで頭と足先とたてがみ以外を毛刈りして強制的に短毛にしてあげたりする。
(過去にノーザンレイクダイアリーでもクッシング病について記事にされていたので合わせてみるとわかりやすいだろう)
他にも色々あると思うが、私が見たことあるのはこのあたりになる。もし他にもあったら知っていきたいところだ。
まだまだ暑い夏はもう少し続く。どの施設、クラブでも対策はしている最中、なるべく人馬ともに体調を崩さず乗り切っていきたい。
文:鷹月 ナト
編集:椎葉 権成・近藤 将太
著作:Creem Pan
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