調教師、JRA騎手、障害馬術…ホースマン一家を繋ぐ思い出の一頭 by 佐藤里美さん
「withuma.」vol.39 佐藤里美さん
Profile
お名前:佐藤里美さん
ご年齢:40歳
居住地:神奈川県
第39回は、川崎競馬で厩務員をしながら、全国の馬事イベントでMCとして活動をしている佐藤里美さんです!
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
佐藤里美さんの「withuma.」
川崎競馬、佐藤博紀厩舎で厩務員をしており、息子はJRA騎手、娘は障害馬術競技に出場しています。
厩務員になったきっかけは、2017年に調教師である夫の管理頭数が増加したことでした。
厩舎では、出来る限り馬たちが安心してリラックス出来る環境づくりに努めています。
手入れや馬装の時などに沢山話しかけたり、馬とのコミュニケーションを取ったりしながら、人との信頼関係を築くように心掛けています。
1頭の馬がデビューするまでには、表舞台からは見えない数多くの人が、それぞれの立場からバトンを繋いでいます。
注目される事の少ない地方競馬の馬たちでも、一人でも多く方々の記憶に残るように、競馬は魅せるスポーツでもありますので、レースの際はレースの妨げとならない範囲で季節を取り入れた馬装でレースに臨んでいます。
また、競走馬は馬主さんの大切な財産でもあるということを肝に命じ、人の不注意による事故の無いように常に気を付けています。
競馬を生業とする人は誰もがレースで勝つ為に日々仕事に励んでおりますので、レースで結果を出すことはもちろんですが、人との信頼関係を損なう事の無いように、馬たちへの感謝を忘れず、愛情を沢山注いで、1頭でも多くの馬たちが幸せな馬生を送れる様にしていきたいです。
紫陽花とカタツムリの装飾、とても可愛らしくて、素敵ですね!
ファンの方にも楽しんでもらうという取り組みから、佐藤さんの馬や競馬への想いを感じました。
また、馬が人を信頼してくれるように、佐藤さんも馬を信頼し、沢山の愛情を注いでおられるお姿に感銘を受けました。
強い馬、レースで勝てる馬をつくることは勿論ですが、競馬なら競馬で、引退後は乗馬になっても、佐藤さんが関わってこられた馬たちは、人から信頼を置かれる馬になっていくのだと感じました。
佐藤里美さんの「Loveuma」
私が感じる馬の魅力は、人が思っている以上に色々な事を理解しているところです。
お気に入りの馬は、スイートアリエスです。
息子が競馬学校の実習生時代、調教に騎乗させてもらっていました。
その後、縁あって夫の厩舎に仲間入りし、私の担当馬となりました。
息子から聞いていた以上に可愛くて健気な性格で、担当している間一度も耳を伏せたところを見たことがないくらい、人に対して従順な子でした。
結局レースで勝たせる事は出来ず、他場に転厩したのちに繁殖入りしましたが、どうしても忘れる事が出来ず、事前に許可を頂いた上で、繋養先の牧場に会いに行っています。
一言で表すと、家族を繋ぐ思い出の一頭です。
スイートアリエス号、私が個人的に応援しているラテシリウスという馬と、大井でよく一緒に走っていましたので、何度かレースを観たことがあります。
ご家族がそれぞれの場面で共通して関わっておられる馬というのは、とても特別な存在ですよね。
耳を一度も絞ったことがないという言葉から、いかに温厚な馬であったのかを想像することが出来ます。
良く競馬の騎手が、馬を怒らせながら走るという表現を使うことがありますが、温厚で怒らない子というのは、” 競走馬としての適性”という視点に立った際に、どのような影響はあるのか、とても気になりました。
引退馬問題について
乗馬のインストラクターや厩務員業の傍ら、馬の魅力を1人でも多くの方に広めたいという気持ちのもと、様々な活動をしてきました。
具体的には、ホースメッセや内国産乗用馬市場など、馬に関わるイベントのMCや、RRCをはじめとした馬術競技会のアナウンサー、そして月に1度はレインボータウンFMにて『たづな1000%』という馬番組のパーソナリティーを務めています。
また、主人の厩舎からデビューしたものの、骨折で引退を余儀なくされた馬を引き取り、今は娘の良きパートナーとして、障害飛越競技に出場しています。
その他にも自厩舎、他厩舎問わず、積極的に引退競走馬と引き受け先を繋ぐ活動もしています。
引退馬問題を解決するには、まずは1人でも多くの方に、馬という生き物とその魅力を知って頂くこと。
角居元調教師もおっしゃっている様に、引退競走馬達の受け皿となる乗馬クラブの馬房数にも限りがあり、新たな馬が入厩することで他の馬を退厩させなければならない可能性もあります。
また、例え繁殖に上がったとしても、産駒の成績によっては廃馬となる事もありますので、馬が安心して余生を過ごす事の出来る養老牧場のような施設がもっと増えたらいいな、と思います。
我が家も長年、息子のパートナーを務めてくれたポニーを養老牧場に預託していますが、個人で馬の一生を面倒見るとなると、経済的な負担もそれなりにありますので、無理の無い範囲で始められる仕組み作りが増えたら更に良いですね。
『たづな1000%』は、このwithuma.で登場いただいた方も何名かご出演されています。
また、Loveumagazine.『宮田朋典の「馬をつくり直す極意」』で取材させていただいた宮田朋典さんもご出演されていました。
佐藤さんのお声とっても素敵ですし、出演されている方々の背景も興味深いです。
自厩舎の元管理馬が、ご令嬢様と馬術においてパートナーを組まれているのですね。
とても素晴らしいと思いますし、人と馬の縁って不思議だなと感じさせられます。
ところてん方式でクラブから出される馬、繁殖に入っても廃馬になってしまうなど、引退馬問題は一口に「こうすれば解決する!」とはいかない、難しい問題です。
馬が活躍できる幅が広がれば、もっといろいろな形で馬の命を繋いでいくことができるのではないかと思います。
今回は、川崎競馬で厩務員をしながら、全国の馬事イベントでMCとして活動をしている佐藤里美さんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。
リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。
今後も「withuma.」を通して、引退馬問題前進の一助となれるよう、微力ながら馬事産業・文化に携わる人を発信していきますので、是非皆さまからのご応募をお待ちしております!
▼詳細は下記バナーをクリック!
こちらもチェック
▲ここをタップ / クリック
▲ここをタップ / クリック
▲ここをタップ / クリック
協力:佐藤里美さん 取材・文:片川 晴喜 編集:平本 淳也 著作:Creem Pan
>馬が安心して余生を過ごす事の出来る養老牧場のような施設がもっと増えたらいいな、と思います。
引退馬支援の最終ゴールはそこだと思います。馬と人が快適に共生できる養老牧場=終の住処を準備すること。
全国規模での用地の確保や人材育成は、やはり資金力と組織力のあるJRAを筆頭に競馬業界が主導して、異種事業や教育機関や地方自治体を巻き込まなければ、なかなか実現が難しいとは思いますが。
個人的に願うのは、たとえ廃用になる馬でも、その前にせめて数年の間、馬具をつけず人も乗せない本来の姿に戻ってストレスフリーの生活を満喫してほしいということ。
人のために尽くしてくれた馬は、みんな功労馬ではないでしょうか?
どうにかして、何らかの形で感謝を伝える方法を見つけたい。全ての引退馬に一定の慰労期間を保証する仕組み作りが必要だと思います。
レース出走前のサラブレッドが、たてがみや尾をあれだけ美しく結ってもらう間おとなしくしていたのかと思うと、佐藤さんとの信頼関係の強さがわかるような気がします。(私は昔、糸や輪ゴムやハサミを構えて若いトラケーナー相手に練習しましたが、あまりの不器用さに時には馬の堪忍袋が爆発して裁縫道具が丸ごと吹っ飛ぶなど大変でした😅)
佐藤さんのようなご一家が、引退馬の現状や今後の展望について様々な場所で積極的に発信してくだされば、支援の輪は確実に広がると信じています。競馬でもラジオ局でも馬事イベントでも、皆様のいっそうのご活躍をお祈りいたします。
お体はくれぐれもおだいじに!☺️
『たづな1000%』のYouTube配信(なべさんの実家謹製の🎂が登場する回)を視聴させていただきました。
佐藤さんは、なんと素敵なオーディオ・ボイス❗️(いやもう、一耳惚れです💕)
声質良し滑舌良し。子音の発音がとてもきれいで、もしイギリスに生まれておられたら、BBCのラジオドラマやホースショーのMCに引っ張りダコなんじゃないかと想像します。
クリアな高音から優しく落ち着いたコントラルトまで、メリハリをつけてカバーできそうな声域がうらやましいですね。(話しかけたり異なる声符を出したりする時に、馬が聴き分けやすく覚えやすく、人からの意思伝達がスムーズになると思うので)
きっと声優や朗読家になっても成功されるでしょう。
いつかディズニーが『King of Turf:ディープインパクト物語』(実写版希望)を制作してくれるとしたら、ぜひともウインドインハーヘアの吹き替えを担当していただきたいお声です。
🥰😻🤩😹