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コロナ禍で追い詰められた大学生活が"馬術"で一変、互いに信頼し合う"相棒"と全日本大会へ! by 須田隆也さん


「withuma.」vol.53 須田隆也さん


Profile

お名前:須田隆也さん

年齢:21歳

居住地:岡山県

Instagram:@okayama_bajutsu

 

第53回は、岡山理科大学馬術部で主将を務めている須田隆也さんです!

いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?

 


須田隆也さんの「withuma.」


写真:本人提供


岡山理科大学馬術部で主将を務めています。


馬術を始めたのは大学1年の6月からです。

当時コロナウィルスの流行で授業もなく、岡山でのバイトができず、友人関係も作ることができない状態で自殺を考えるほど、かなり精神的に追い詰められていました。


そんな時に実家の馬達が頭をよぎりました。

実は私の父が大井競馬場で調教師をしていて、生まれた頃から馬が身近な存在でした。

「今動かないとやばいっ!」と思って、すぐに馬術部の体験入部に行きました。


そして馬に触れた時、自分は馬無しの生活が考えられなくなりました。

その日のうちに両親へ電話して、泣きながら「馬術部に入りたい」と話したのを覚えています。

そして入部を決めて、今に至ります。


写真:本人提供


馬術部での活動において大切にしていることはたくさんあります。

ですが強いてあげるならば、私が大切にしていることは"信頼"です。


私は今「旭晃」という馬に乗せてもらっていますが、彼のことは相棒だと思っています。

彼が私のことを信頼して走ってくれなければ私が怪我をしますし、私が彼を信頼して手綱を握らなければ、勇気を持って障害に飛び込めないし、怪我をさせてしまいます。

昔はただの馬と人だと思っていましたが、彼と過ごした3年間は辛いことも、嬉しいことも共有しあって、お互いに信頼できる存在になっていると感じます。


写真:本人提供


今後の目標は、今年も「全日本学生馬術大会」に出場することです。

私がやっている種目は「総合馬術」というもので、障害、馬場、クロスカントリーの3つをこなさなければならないため、馬と人間の信頼関係や体力、精神力が求められる競技です。

4年生で最後の年ですし、去年度は予選1位だったので今年は挑まれる立場になります。

気を引き締めて、旭晃と共に中国四国予選を通過して本戦に臨みたいです。

 

現役馬術部員の方でWithuma.にご登場いただくのは須田さんが初めてです。


馬術部への入部を決めたキッカケには、コロナでの自粛生活が背景にあったのですね。

馬に触れた瞬間に馬無しの生活が考えられなくなるとは、調教師のお父様から受け継がれた"ホースマンの血"が結んだ出会いなのではないかと感じさせられました。


目標とされている「全日本学生馬術大会」は、今年も秋に三木ホースランドパークで行われるようです。

昨年は予選を見事に1位で通過されたのことで、今年も人馬共に無事、実力が発揮されるようお祈りしております。

 

須田隆也さんの「Loveuma.」



写真:本人提供


馬の魅力は、やはり馬と人がお互いに成長できるところではないでしょうか。


3年間旭晃と組ませてもらっていますが、私が担当し始めた当初は乗っていても上手くいかず、一度掛かり出すと止まらず、私の前に旭晃と組んでいた先輩も困り果てるほどでした。

しかし、喧嘩しては引っ掛けられて走られたり、落馬したりしながら、じっくり時間をかけて乗っていくうちに馬との折り合いがつき、お互い精神的に成長することができました。

また、コンビを組んでいるとこちらも成長を促されるので、とてもいい刺激になります。



写真:本人提供


お気に入りの馬は、先述の旭晃です。

愛称はてっちゃんです。

元大井競馬所属の「コメテッチャン」という名の競走馬でした。


入部した当初は同郷ということもあり、親近感はありました。

また、初めて持たせてもらった担当馬ですが、前述の通り去年は全日本学生馬術大会に連れて行ってもらいました。


写真:本人提供


彼とのエピソードは大きな落馬をした時ですね。

私は腕の骨が折れて全治3ヶ月の怪我を負いました。


普通なら落馬した馬に乗りたいという人はあまりいません。

しかし、復帰してすぐ”てっちゃん”に跨がりましたが怖くないんです。

むしろ走らせて周りから走らせすぎと注意されるぐらいでした。

多分彼のことを信用できたからだと思います。

そこからですかね、彼との信頼関係がグッと縮まって折り合いがつき始めました。


彼の存在を一言で表すと「先生」です。

 

旭晃号は大井競馬で3勝を挙げた元競走馬なのですね。

総合馬術に含まれる「馬場」ですが、競走馬に求められる性質を"動"とするならば、馬場馬術に求められる性質は、いわば"静"。

そのような元競走馬でも総合馬術において全国レベルで渡り合えることは、引退馬の活路として学生馬術が大きな受け皿となっていることを証明していると感じました。


人が馬を信頼し、馬が人を信頼する。

落馬した際のエピソードからも、3年間積み上げてきた旭晃号との日々が、全日本学生馬術大会出場などの結果へと繋がっていることも感じさせられました。

 

引退馬問題について


私は生まれてからずっと馬に生活を支えてもらっている人間です。

引退馬支援は、そんな学生の私から見ても難しい問題であるのは確かです。

土地に制限のある狭い島国で、ヨーロッパほどの馬文化が成熟していないことも要因の一つだと考えています。


では、どうするべきか。

私は「引き取ってあげたいと思う馬に育てていくこと」だと思います。


写真:本人提供


私も将来、競馬界に入っていく1人として、厳しい現実と直面しなければならないでしょうし、全ての引退競走馬を救うことはできません。

しかし、自分のできる範囲で一頭一頭を大切に育てて送り出してあげれば、馬を介して様々な人たちを笑顔にしながら、馬達にとっても幸せな馬生を送ることに、微力ながら貢献できるのではないかと考えます。

 

おっしゃる通り、今の日本は馬文化が成熟しているとは言えませんよね。

昔から人々の生活を支えてきた馬も、産業革命の流れから機械化が進み、農業においても大きな技術革新によって馬のある風景を見ることは極端に減っています。


ただ、例えばヨーロッパでは、一流ワインを馬の力を借りて生産しているワイナリーもありますし、日本でも"馬耕"の文化は再燃しつつあると感じています。

先日も北海道新聞で、引退ばん馬がフランス伝統の"馬耕"を用いたワイン生産に取り組んでいることが報じられていました。

少しずつではありますが、引退馬利活用の取組みが広がりを見せていることは確かです。


また、須田さんの仰る"馬づくり"の理念にも、個人的に大変共感いたしました。

馬の魅力の一つに、その馬に関わる周りの人たちにも良い影響を与えられることが挙げられると考えます。

人と馬が幸せに暮らせる社会を実現する一助になるべく、私たちも『Loveuma.』を通じた活動に尽力してまいりたいと思います。

 

 

今回は、岡山理科大学馬術部で主将を務めている須田隆也さんの「withuma.」を伺いました!

毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!


 

「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。


リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。


今後も「withuma.」を通して、引退馬問題前進の一助となれるよう、微力ながら馬事産業・文化に携わる人を発信していきますので、是非皆さまからのご応募をお待ちしております!


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協力:須田隆也さん 取材・文:片川 晴喜 編集:平林 健一 著作:Creem Pan

 


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