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目標は「牧場初のG1制覇!」57年続く老舗の次世代を担う3代目 by 橋本英之さん


「withuma.」vol.64 橋本英之さん


Profile

お名前:橋本英之さん

年齢:39歳

居住地:北海道

X(旧:Twitter):@niikappu_hashi

 

第64回は、北海道新冠町の競走馬生産牧場、(有)新冠橋本牧場代表の橋本英之さんです!

いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?

 


橋本英之さんの「withuma.」

写真:本人提供


北海道新冠町にある競走馬生産牧場「(有)新冠橋本牧場」を経営しています。

牧場では厩舎作業等、牧場や馬を管理する仕事をしながら、牧場経営に係る事務作業も行っています。


日本獣医生命科学大学を卒業後、競走馬生産・育成牧場であるノーザンファームに就職しました。

小さい頃は獣医になることも考えていましたが、家業に携わるうちに、獣医になって馬を治療するよりも、お世話をする事が好きになり、この仕事を選びました。

ノーザンファームでは生産部門にも数か月いましたが、主にイヤリング部門で仕事をしていました。

その後、今から10年ほど前に、父が倒れて急逝したことがきっかけで牧場に戻り、跡を継ぎました。


仕事をする上で大切にしていることは、馬の様子をしっかり観察し、小さな変化も見逃さない事です。

また、体調が悪そうな時や、どこか痛そうだなという時は、重症化しないうちに早めに対処してあげるように心がけています。


今後の目標は、牧場としてはG1レースを勝利したことが無いので、そういった馬を生産することです。

 

一度は獣医師となる道も考えられた上で、ご自身の意思によって家業を継がれたのですね。


「小さな変化も見逃さない」

これは馬を飼養管理する者にとっては一様に大切な事だと思います。

生産牧場では繁殖牝馬に加え、生まれたばかりの当歳馬や、成長途上の1歳馬も管理されていますよね。

以前、とある生産牧場の取材をさせていただいた際に、特に仔馬は体調を崩しやすく、特別な配慮が必要になると、スタッフの方が仰っていました。

1歳馬も何かあると放牧に出せずに体力づくりが遅れてしまったり、上場予定だったセリに間に合わなくなったり、その後を左右する大きなインシデントに繋がるかと想像いたします。

管理する馬の属性によって気を配る部分は異なるかもしれませんが、とても大切な心構えであると感じました。

 

橋本英之さんの「Loveuma.」


この仕事に携わっていて感じる馬の魅力としては、生まれた時は50Kgくらいしかないのが、1年後には400kgくらいになるので、その成長を見届けることが好きですね。


写真:生後約1か月(本人提供)


写真:生後半年(本人提供)


写真:1年後、1歳馬(本人提供)


また、競走馬の中で魅力を感じた馬としては「サイレンススズカ」がいます。

圧倒的なスピードで逃げて、他の馬ができないような競馬をする姿に惹かれました。


そして「メイショウトウコン」もお気に入りの馬です。

メイショウトウコンは、生産馬の中で一番G1勝利に近かった馬で、カネヒキリのアタマ差2着だったジャパンカップダート(G1)も阪神競馬場まで見に行っていました。

私に、牧場に、「夢を見させてくれた馬」です。


写真:メイショウトウコン号(本人提供)

 

「馬の成長を見届ける事」、生産者ならではの視点ですね。

同じ馬の当歳~1歳までの立ち写真をご提供いただきましたが、こう見ると、「馬の成長って早いなぁ」と改めて感じることが出来ました。


私も生産牧場で研修していた頃は、毎年春先と夏に伺っていたのですが、2月にお産に立ち会った馬が、9月に行くと一回りも二回りも大きくなっていました。さらに翌年の春には「何かあった時に危ないから」と、研修生には曳かせてもらえないくらいまでパワーをつけていたことが思い出されます。

その後セリや育成を経て、2歳のデビュー時に競馬場で応援するところまで、一頭の馬の成長を見届けることの面白さを感じましたし、私ごとですが、そこにやり甲斐を感じました。

 

引退馬問題について

写真:本人提供


私が行っている引退馬支援としては、先述のメイショウトウコンを牧場で繋養し、余生を送ってもらっている事。

それから「TCC 引退競走馬ファンクラブ」で、生産馬で重賞2勝を挙げたザダルのオーナーもしています。


最近は昔と違って、少しずつ引退した馬の情報が出たり、引退馬を支援する団体が出来てきたりしています。

今後も引退馬支援団体が増え、一般の方から少しでもお金が集まり、引退馬の老後の費用になればいいなと思いますし、盛んに、広まってくれればいいなと思います。


また生産者の立場から言うと、競馬で活躍することで、その後の可能性が広がります。

牡馬なら一握りかもしれませんが種牡馬になれたり、牝馬なら良い成績を残すと繁殖牝馬になれます。

ですので、なるべく活躍できる馬を生産することが、私たちの目指すべきことだと考えています。

 

お気に入りの馬として挙げて頂いたメイショウトウコン、今は牧場で余生を送っているのですね。

ザダルのオーナーもされているとのことで、牧場に大きく貢献してくれた馬には、「何かの形で恩返しをしたい」という気持ちが伝わってまいりました。


仰る通り、少しずつ新たな風が吹き始めています。

「引退馬」という言葉が市民権を得て、オープンに語りやすい時代にもなりました。

まだまだ、支援に参加する人も、命を繋いだ馬も一握りではありますが、しかし着実に増えていることも事実ですので、これからも広まっていってほしいと思います。


生産者の立場から目指すべきこと、まさに仰る通りだと思います。

認定NPO法人引退馬協会の沼田代表も、「一頭の馬に対して、熱い想いの人が一人はいないと、やっぱり馬は助からないんですよ」と、映画『今日もどこかで馬は生まれる』の中で仰っていました。

個人的な意見としては、重賞レースの数は一定ですので、そこはまた競争になるかもしれませんが、一頭の馬が余生を送るために肝心なのは、その馬に心酔する人が一人でも多く増える事だと考えます。

勝ち負け問わず、ファンの印象に残る馬を輩出できれば、生き続けることが出来る馬も増えるのではないかと想像いたしました。

 

 

今回は、北海道新冠町の競走馬生産牧場、(有)新冠橋本牧場代表の橋本英之さんの「withuma.」を伺いました!

毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!


 

「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。


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協力:橋本英之さん 取材・文:片川 晴喜 編集:平林 健一 著作:Creem Pan

 


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