競走馬、乳母馬、子供たちの"ふれあい"...「オールマイティーな面白い牧場」を手掛けるホースマン by 小澤加奈子さん
「withuma.」vol.74 小澤加奈子さん
Profile
お名前:小澤加奈子さん
年齢:44歳
居住地:北海道沙流郡
第74回は、競走馬・乳母馬の生産と管理をしているサンバマウンテンファームの場長、小澤加奈子さんです。
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
小澤加奈子さんの「withuma.」
写真:本人提供
北海道沙流郡日高町で、競走馬・乳母馬の生産と管理をしている「サンバマウンテンファーム」の場長をしています。
私自身、元々は大手牧場に勤務していたので、そこで馬を生産する知識を得ました。
また、その際に乳母馬という存在にも出会い、何より命が誕生する瞬間の喜びを感じました。
2014年、自分で乳母候補の馬を所有していたのですが、子どもを産ませる場所を探していたところ、空いている場所としてサンバマウンテンファームがあり、置かせていただくことになりました。
その後、現在の社長が受胎馬をどんどん預かってきてしまったため、乳母生産の傍らサラブレッドの生産も始めることとなりました。
牧場での仕事において大切にしていることは、幼少期の繊細な変化を見逃さず、たくましく育て、愛される存在に育てるという事です。
また今後の目標についてですが、乳母たちにおいては、「"私が扱える馬"でないと一人前の乳母としては送り出さない」という基準を設けてやっていますが、幸いにも今牧場で働いている乳母たちは、立派に乳母としての仕事を務めてくれています。
そして競走馬においては、やはり大きなレースに勝つことが全ての生産者が持つ夢だと思います。
しかし多くを望む前に、まずは丈夫で健康な馬を送り出す事で、競走馬としてのお仕事を長く続けられ、セカンドキャリアも大事にされる。
そんな馬を育てていきたいと考えています。
サンバマウンテンファームさんでは、競走馬だけでなく乳母馬も繋養しておられるのですね。
乳母馬というのは本当に偉大な存在だと感じています。
私が生産牧場で研修を受けていた際に、お母さんが亡くなってしまった仔馬と乳母馬のペアがいたのですが、自分の子供ではないその仔馬に沢山の愛情を注いで、一生懸命に育てている乳母馬の姿には大変心を打たれましたし、尊敬の念を抱きました。
小澤さんが大切にされている「愛される存在に育てる事」、セカンドキャリア以降で人から大事にされるためにも大変重要な要素だと感じます。
人と馬の間でグルーミングをできるように、馬は愛情をお返ししてくれる動物だと考えています。
小澤さんの様な方に愛情を注いで育ててもらった馬は、きっと引退後も、人々に笑顔をもたらしてくれる存在となるだろうと感じました。
小澤加奈子さんの「Loveuma.」
幼少期、祖父母に連れられて良く遊びに行ったのが、千葉の「マザー牧場」でした。
曳き馬を何周もねだる子供でしたが、当時はアルペンスキーの選手をしていたため、流石にお金のかかる乗馬にも通わせて欲しいとは頼めず…
写真:本人提供
そこから時間が経って20歳の頃、たまたまスウェーデンで日本人のベビーシッターを探している方がいて、「スウェーデンなんて国に行くチャンスは今しかない!」と考え、単身でスウェーデンに渡り、ベビーシッターの仕事をしつつ夢だった乗馬を始めました。
そこから乗馬を習うことに留まらず、半年スパンで借りれるレンタルホースがあったので自分で馬をレンタルし、馬房も借りてお世話をしていました。
乗る場所は馬場に限らず、山の中、湖など大自然で乗るスタイルで、スウェーデンで過ごした日々は、とても良い経験になりました。
写真:本人提供
私のお気に入りの馬ですが、今では自分で生産した馬たちが、どの馬と言わず、みんなが家族です。
自分で所有している乳母も10頭ほどになってきましたが、その中でも1番を挙げるとすれば、サンバマウンテンファームに来るキッカケとなった、自分で所有した乳母の「コムギ」ですかね。
コムギには、もう曾孫までいるのですが、私にとっては"娘”のような存在で宝物です。
舞い込んだチャンスを掴む行動力、大変感服いたしました。
また幼少期に興味を惹かれた乗馬にも、スウェーデンへ渡ったタイミングでチャレンジされたのですね。
馬をレンタルできるサービス、とても魅力的ですね。
私も是非利用してみたいと思う反面、初めはレンタルしていても、お世話しているうちに愛情が積もり積もって、結局は買い取ることになりそうです(笑)
その辺りは、渡航先の限られた期間と言う条件下だからこそ、利用するメリットの大きいサービスと言えるかもしれません。
また、馬を引き取りたいと考えている人が、自分にも馬を管理することができるのかを見定めるために、まずは場所を借りてレンタルホースでチャレンジしてみる。
そういったシーンで利用するサービスとしても最適かもしれませんね。
引退馬問題について
写真:本人提供
我が家が繋養している繁殖にノボキッスという馬がいるのですが、彼女は重賞勝ち馬を輩出していたので、そこから引退馬協会さんとの縁をいただきました。
今は高齢の繁殖で、重賞馬を輩出していない馬をリードホースとして残しています。
他にも、生産馬のリトレーニングを友人のいる乗馬クラブにお願いするなど、できる限り自分が関わった馬には次の仕事を与えられるよう活動しています。
引退馬問題については、常々友人と話していることです。
まず、馬に関わる仕事は馬をお世話している人だけではありません。
馬を通じてお金を稼いでいる餌屋さん、馬運業者、競馬の運営に携わる人々、すべての『馬がいないと生活できない』人々は感心を持ち、協力すべきだと思います。
例えば馬に関する売り上げの一部を引退馬に向けるシステムとか。
写真:本人提供
もちろん、馬に乗る人を増やすことも大事です。
サンバマウンテンファームでは、いつでも子供がふれ合えるポニーもいますし、ジョッキーベイビーズの予選に出る子供たちを受け入れています。
子供たちの側に馬がいることが、馬のお仕事が増えることに繋がると思って活動しています。
「生産牧場で馬と遊ぶなんて」と思われるかもしれませんが、今後も子供たちが自由に馬と遊べるオールマイティーな面白い牧場でいたいと思っています!
母ノボキッスの重賞馬といえば、重賞4勝を挙げたノボバカラですね!
「重賞馬を輩出した母」も対象となっていた「ナイスネイチャ・33歳のバースデードネーション」の受け入れ馬として、引退馬協会さんの「フォスターホース」になったのがノボキッスでした。
引退馬支援の取り組みとして、引退した繁殖をリードホースとして繋養するほか、生産馬のリトレーニングにも注力されているのですね。
また「受け皿の拡大」という面では、未来のホースマンを育む活動にも力を入れておられるとのことで、「オールマイティーな面白い牧場」、大変素敵なご活動だと感じました。
幼少期から馬とふれあう経験は、将来馬に関わる仕事をするか否かに関わらず、とても大切なことだと思います。
日本有数の馬産地ならではの距離感なのかもしれませんが、「私が幼少期の頃にも、そういった環境があったらな」と、羨ましくも感じました。
今回は、競走馬・乳母馬の生産と管理をしているサンバマウンテンファームの場長、小澤加奈子さんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。
リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。
今後も「withuma.」を通して、引退馬問題前進の一助となれるよう、微力ながら馬事産業・文化に携わる人を発信していきますので、是非皆さまからのご応募をお待ちしております!
▼詳細は下記バナーをクリック!
協力:小澤加奈子さん 取材・文:片川 晴喜 編集:椎葉 権成 著作:Creem Pan
スウェーデンまでベビーシッターに行ったり、南極観測隊の調理隊員に志願したり。。。
フジヤマゲイシャのイメージをガラガラと崩すカッコいい日本女性たちの世界進出に頭が下がります。
「カッコいい」と思う一番の理由は実行力。
不安や迷いがあったとしても、とりあえず倉庫に入れて(どこの?😕)鍵をかけ、決断と行動の間に無駄な逡巡を挟まず、未知の現場で文字どおり体を張って目的を達成しておられることです。(絶賛尊敬中❗️)
サンバマウンテンファームでお産をしていたシンラバンショウ号が、引退馬協会の再就職支援プログラム入りして早くも「愛されキャラ」と評判ですね。ファームの環境がかわいい性格を強化したのだと思います。
預託場所によっては見違えるようにすさんで前科持ち(暴行、脅迫、器物損壊、無銭飲食など)で出所してくる仔もいて悲しくなりますが、シンラバンショウは善良そのもの。きっと幸せなセカンドライフ、サードライフが送れることでしょう。「預かりがいがあった」と自慢してください。✌️😊
彼女の最後の産駒(父アドミラブル)も小澤さんのもとで愛情をかけて育てられ、無事に離乳したのですね。生まれたてホカホカの写真を拝見すると、ずいぶん美人さんでした。✨🐴🎀
サンデーサイレンスのクロスもトニー瓶(☜ 何この変換☹️? 兄弟はホニュービン🍼かい?)のクロスも持っているということで注目しています。いつか府中の直線を元気に走るところが見たいです。
🐎🎵。。。。(☺️空馬はダメよ)