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大井の砂上で輝く誘導員は、黎明期にデビューした元女性騎手 by 田島泉さん


「withuma.」vol.43 田島泉さん



Profile

お名前:田島泉さん

ご年齢:47歳

居住地:東京都

 

第43回は、元騎手で、現在は大井競馬場で誘導馬に騎乗されている田島泉さんです!

いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?

 


田島泉さんの「withuma.」


2018年4月、大井競馬場の所属騎手を引退し子育てに専念していましたが、夫が大井の厩務員だったこともあり、再び馬の仕事がしたいと思っていたところを、(有)イネッツ・ツーの坂口昇社長にお声かけ頂きました。

現在は、大井競馬場における誘導馬の厩務、調教、開催時での誘導業務をしています。


活動で大切にしていることは、愛馬心(馬を愛する心)です。


騎手時代と今とで共通しているのは、馬に乗るという一点なのですが、乗馬の腰を張って脚を真っ直ぐ下ろして乗るという姿勢がどうしても腰が丸くなったり、手綱の持ち方ひとつにしても力が入りすぎていたり…もっと一歩ずつ回転しなければならないところを馬の動きに合わせてクルッと回ってしまったり…とまだまだ直してゆくところばかりです。

そこを根気よく何年もかけて教えてくださっている坂口さんをはじめ、誘導員の先輩方には本当に感謝しています。


乗り方については乗馬の教本にしっかりと説明されているので、そこも含めて乗馬の奥深さに圧倒されていますし、現役時代にも乗馬をもっと勉強するべきだったと思っています。


今後の目標としては、坂口さんの技術に少しでも近づきたいと思っています。

馬に乗る技術や調馬索などの調教技術はもちろんなんですが、馬に対する姿勢というか、馬との信頼関係を築いた上での愛馬心…というところを一番尊敬しています。


今、大井競馬場の誘導馬は全て、大井で走っていた競走馬からの引退馬なのですが、競走から引退して新しく誘導馬厩舎に来てまだ落ち着かない馬を安心させて、こちらを信頼させて受け入れるまでを寄り添う…と、口でいうのは簡単なのですが、実際に馬房の隅で緊張して硬くなっている新馬を、毎日声をかけて手をかけて慣らしてゆき、ある日馬がフウっと息をはいて表情も身体も柔らかくなる…それも徐々にですが、その過程を見ることが出来て、馬に乗る前に、馬の心の問題というか、手入れもそうですが馬の扱いについて大事なところを学ばせてもらっていると思います。


 

私が出会ってきた馬に携わっていた方々が、みな口を揃えておっしゃるのは、また機会があれば馬を触りたいということです。


田島さんも子育てに専念するために一度は馬のお仕事を離れられたが、また誘導員として砂上に戻ってこられた。

馬の縁というのはなかなか切れないものなのだなと、感じさせられました。


馬を扱うという点に関して私は素人なので、技術面のことは事分からないことだらけなのですが、田島さんの仰る“愛馬心”は、とても大切な意識だと感じました。

思い通りに動いてくれないと、「なんで分かってくれないんだ」とついつい思ってしまうのですが、そのように寄り添う心が無いから馬も心を開いてくれないのだと、つい最近も思い知らされたところです。

生き物対生き物として信頼してもらうには、長い時間を掛けた日々の積み重ねが必要であるということは、今後も私の訓示として大切にしてまいりたいと思います。

 

田島泉さんの「Loveuma.」


誘導馬厩舎で働くようになり、競走能力だけではない馬たちの魅力に気がつきました。

個々の性格や個性がさまざまであることに、毎日のお世話や騎乗の中で気がつき、はまってゆきました。



お気に入りの馬は、皆それぞれ好きなのですが、その中でもボンネビルレコードが1番好きです。

大井での現役生活での成績はもちろん、美しく、柔らかく、繊細な感情を持った魅力あふれる馬でした。

大井の宝で私の先生!といった感じです。


 

騎手時代に接しておられたのは、その多くがレースを控えた現役馬たちだと思いますが、やはり今携わっておられる誘導馬と現役馬とでは、気性的な部分も含めて、また違った要素を持っているのではないかと想像いたします。

2つの職業を経験されたことで、馬の新たな一面を知れたというのは、田島さんのご経歴ならではの貴重な体験だと感じました。


ボンネビルレコードといえば、帝王賞の実況が印象的です。

「内からボンネが来たぞー!」という及川サトルさんの実況、私の様な若い世代の競馬ファンでも一度は聞いたことがある節です。


凛々しさに中にも愛嬌がある。

ボンネは、田島さんにとっても特別な馬の一頭だったのですね。

そのボンネビルレコードですが、2022年の帝王賞での誘導を最後に誘導馬を引退し、現在は北海道日高町の加藤ステーブルさんで余生を送っているとのことです。

Twitterがこまめに更新されていますので、のんびりと暮らすボンネビルレコードの姿を是非チェックしてみてください。

 

引退馬問題について


私が今している引退馬支援ですが、先にも書いたように誘導馬はすべて大井競馬場で引退した馬ですので、引退馬に乗っているということです。


引退馬問題の解決については、乗馬人口を増やすために馬の魅力を発信すること。

それから、それぞれの立場の方がそこで出来ることを継続できる形でやる…やってゆく中で日々生まれてゆく問題を話し合いながら続けてゆくことが出来ればいいなと思っています。


誘導員の立場としては、大井の現役競走馬が引退した時の選択肢のひとつになっているというのは、簡単ではないにしろ、何にしろ凄いことだと思っていますので、日々の誘導業務をしっかりやることが引退馬について考える…というところに繋がってくれたらいいなと思っており、誘導馬の日々の様子、その可愛さについてはもっと多くの方に知ってもらいたいなと思っています。

 

おっしゃる通り、誘導馬となれるのは限られた一部の馬だとは思いますが、人間社会においても、“人材の地産地消”といった言葉があるように、大井競馬場の誘導馬もそれに類似する部分があると感じました。


実は戦後の日本競馬で、初めて誘導馬による先導を始めたのが大井競馬だとか。

半世紀以上にわたる長い歴史があるのですね。


冬季の大井競馬場でレースがない日に行われる、「東京メガイルミ」では、誘導馬とも写真撮影ができるそうです。

幅広い層に馬とふれあってもらう事、馬の魅力を知ってもらうことが大切だと考えていますので、彼らの活躍の場が、競馬開催時の誘導以外でもあることも含めて、素敵なご活動だと感じました。


田島さんは、withuma.vol.40「大病をきっかけに選んだ道は、馬の水彩画家」にご登場いただいた、加藤みきこさんに水彩を習われているそうで、3月25日〜4月9日に行われる『春のうまさんぽ展』に、加藤さんと出店をされるようです。



気になる方は下記案内をチェックし、是非足をお運びください!





 

 

今回は、元騎手で、現在は大井競馬場で誘導馬に騎乗されている田島泉さんの「withuma.」を伺いました!

毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!


 

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協力:田島泉さん 取材・文:片川 晴喜 編集:平本 淳也 著作:Creem Pan

 


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