小学5年生の若き馬乗り!自由研究のテーマは「引退馬問題」by 詩織さん
「withuma.」vol.27 詩織さん
Profile
お名前:詩織さん
年齢:11歳
居住地:東京都
第27回は、詩織さん、馬が大好きで乗馬をしながら、引退馬問題とも向き合っておられる小学生の女の子です!
いったいどのような「withuma.」を送っていらっしゃるのでしょうか?
詩織さんの「withuma.」
馬が大好きになったきっかけは、5歳の時に友達と乗馬キャンプに行ったことでした。
御殿場のビッグマウンテンランチでやっている、「スクスクスクール」というプログラムで、夏休みや冬休みなど、長期休暇の際に開催されるキャンプです。
毎回25人ぐらいが参加していて、年中さん~高校生までの幅広い年齢の人が参加しています。
馬小屋で馬をお世話しながら乗馬ができるのですが、あまりにも楽しくて、コロナ渦以前は長期休暇には毎回参加していました。
初めて馬と対面した時は、自分よりもすごく大きくて、それが印象に残っています。
喘息を持っているので、馬房の空気がちょっとしんどいこともあるんですが、それでも好きなので通い続けています。
5歳から馬に乗れる環境、とても素敵で、素晴らしいですね!
私が詩織さんくらいの歳の頃は、少年野球一筋で、馬とは全く無縁の生活でした。
詩織さんの様に、小さい頃から雄大な自然の中で馬にふれあっておられることは、本当にかけがえのない体験であると思います!
タイムマシンがあったならば、当時の私に「スクスクスクール」の存在を教えてあげたいです!(笑)
そして詩織さんは喘息を持たれているとのことですが、実は私も馬アレルギーで若干の喘息持ちなんですよね。
なので、「しんどいけど好きだから通い続けてしまう」というのはとても共感できました!
目はかゆくなるし、くしゃみと鼻水は止まらないけど、馬房掃除もしますし、馬の顔にすりすりしちゃいます!(笑)
好きなんだから、これは誰にも止められないことですよね!
(推奨する意図はなく、どうかご自身の体調を優先されてください)
詩織さんが通ってらっしゃる「スクスクスクール」にご興味のある方は、是非こちらをチェックしてみてください!
他にも国内各地で、子供向けのポニーキャンプなどが開催されています!
読者の皆様も、ぜひ近隣のイベントを探してみてください!
詩織さんの「Loveuma」
馬は瞳がきれいで、優しくて、乗り手の気持ちを理解できる賢い動物です。
それから、ふれあっているときに馬が気持ちよさそうにしている様子が、とても可愛いなと思います。
1頭1頭に違いがあるところも面白いし、こちらの接し方によって、馬の人に対する接し方が変わるのが面白いです。
例えば乗馬している時に、私が違うことを考えていると、別の方向に行ったり、草を食べたりしているところから、心が通じていることを感じました。
体格差もあるので、初めの頃は見下されていたのですが、引き手なしで一人で乗るようになってからは、馬をしっかりリードすることを特に意識しています。
馬は人間との距離感が昔から近い動物だし、人間と話すみたいに声を掛けながら接したり、リードしたりして、それを馬もわかるので、優しく接するようにしています。
お気に入りの馬は、それぞれに良いところがあるので、全員好きなんですが、ビッグマウンテンランチにいる“さんぽ”というおばあちゃんの馬がお気に入りです。
すごく優しいし、'のほほん'とした感じの馬でゆっくり歩くので、早く歩かせたいときのコントロールが難しいんです。
大人しいから簡単そうに見えるけれど難しい。
初めのころから乗せてもらっているので、とても思い入れが深い馬です。
一言で表すと、「親友」です。
詩織さんは11歳ながら、馬歴はもう7年目になるんですね!
私が初めて生産牧場で研修したのが、2016年の夏、高校1年生のときでしたから、今年で6年目になりますので、ホースマンとしても先輩ということになります!
乗馬を通して、馬の特性、馬との接し方などを深いレベルまで理解されている。
…尊敬の2文字に尽きます!
それから「親友」として紹介していただいた、'さんぽ'さんについて調べてみたのですが、1994年4月生まれ、御年28歳になるそうです!
読者の皆様に28歳がどれくらい高齢なのかお伝えすると、メジロブライト、ステイゴールド、タイキシャトルなどが、同じ1994年生まれの同世代になります。
そして、Loveumagazine.『名門に生まれたお嬢様、メジロドーベル|メジロ終焉とレイクヴィラ誕生の秘話』でご紹介しているメジロドーベルも、同じく1994年生まれの28歳です!
まだ現役で子供たちを乗せて活躍しているとは、スーパーおばあちゃんホースですね!
引退馬問題について
引退馬問題を知ったキッカケは、テレビで『情熱大陸』を見たことです。
視聴後、引退馬について調べると、『引退馬協会』、『引退馬の森』、『サラブリトレーニングジャパン』などが出てきて、引退馬支援の存在を知りました。
その後、子どもだからお金の支援は難しいけど、できることをやっていかないといけないなと思い、夏休みの自由研究で引退馬のことを調べました。
みんな知らないし、伝えることの必要性を感じたんです。
研究では、まず映画『今日もどこかで馬は生まれる』を観て、その後、馬事学院に行って取材をしました。
引退馬がたくさんいて、実際の馬を見て改めてこの問題を実感しました。
また、ネットで調べても出てこなかったお話を聞くこともできました。
競馬用に訓練された馬を、乗馬にすることは難しいこと。
競馬で活躍できる馬が、乗馬で活躍できるとは限らないこと。
その逆で、競馬で活躍できなくても乗馬で活躍できる馬もいることなどです。
次に、Creem Panの平林さんに取材をしました。
乗馬をする人は結構いるんじゃないかなと前から思っていたんですけど、そんなに競馬のための馬がたくさんいることは知らなかったし、今日本にいる馬のほとんどが競馬のために生まれていることを全然知らなかったので、まずそこにびっくりしました。
それまでは、半分以上は乗馬のために生まれていると思っていたんです。
なので、競馬のために生まれている馬がたくさん屠畜されていることにも驚いたし、悲しい気持ちになりました。
そして夏休みが明けてから、学校で自由研究を発表する時間がありました。
クラスのみんなは引退馬のことを全然知らなかったし、馬に興味のない人がたくさんいました。
ですが、屠畜とかを考えた時に、自分たちの好きな犬や猫と重なったのかもしれないですけど、やっぱ考えなきゃなみたいなことを思ってるんじゃないかなって感じました。
発表後も廊下にも掲示してあって、結構みんな見てくれていました。
「初めて知った」、「びっくりした」という反応がすごく多かったです。
自分も馬の見方が変わったし、普段身近に接している馬が辛い思いをしていたかもしれないので、できることはやらなきゃいけないと思うし、みんな知らないので、伝えていかないといけないなとも思いました。
競馬は最近すごく有名になっていますが、競馬を楽しんでいる人たちも、見ていた馬が引退したらすぐ次の馬っていうのではなくて、ありがとうって言って支援してあげなきゃいけないと思ったし、JRAのように、みんなを代表してできる人が支援しますと言ってやってくれれば、馬も救われるんじゃないかなと思います。
それから、自分が大好きな乗馬を友達にも是非試してほしいんですけど、都心に住んでいるとそういう機会もなかなかないので、乗馬クラブ等がもっと身近に増えると、馬好きな人も増えていくのになと思います。
やっぱり馬をペットとして飼うのは難しいのかもしれないので、そういう場所が増えてほしいです。
ご覧になったのは、「ホーストラスト」さんが取り上げられていた『情熱大陸』ですね!
引退馬に関心のある人たちの間でも話題になりましたし、もちろん私も拝見いたしました。
情報を受け取って、心が動かされたとしても、そこから自分で行動に移せる人は、大人ですらほんの一握りだと思います。
詩織さんの行動力、誠に感服の極みです…!
そして何より、調べて終わりではなく、「伝えることの必要性」を感じて研究をされ、関係者への取材を行い、資料にまとめられたこと。
薄っぺらい言葉ですが、ただただ「すごい!」と感心させられました。
詩織さんにもご覧いただいた、弊社制作の映画「今日もどこかで馬は生まれる」。
映画公式サイトでも公開されているように、上映会や劇場でアンケートを配布して、引退馬問題への想いを集計しておりました。
集まった延べ1,206件のアンケートを見ると、「引退馬支援の責任は誰に?」という部分では、89%の方が責任の所在を「JRA」と答えていました。
この結果を見ると、詩織さんの仰るように、主催者が旗を振って、引退馬問題の解決に向けて取り組んでいくことが期待されていると理解できます。
ドキュメンタリー映画「今日もどこかで馬は生まれる」つくるの先へ
競馬という巨大産業が抱える引退馬問題は、そう簡単に解決できるものではありませんが、詩織さんと同じく私たちも、「まずは知ってもらう事」が大切だと考え、活動を行っています。
そして解決に向けては、馬が活躍できる場所が増えることも必要になってきます。
そんな流れの一助になれるよう、詩織さんに負けじと、これからも活動を続けていきたいです!
今回は、馬が大好きで乗馬をしながら、引退馬問題とも向き合っておられる、詩織さんの「withuma.」を伺いました!
毎週定期更新してまいりますので、次回もよろしくお願いいたします!
「withuma.」では、馬にまつわる活動や、その思いについて発信していただける方を募集しております。
リモート取材は一切なく、専用フォームからアンケートにお答えいただくと、その内容が記事になります。
今後も「withuma.」を通して、引退馬問題前進の一助となれるよう、微力ながら馬事産業・文化に携わる人を発信していきますので、是非皆さまからのご応募をお待ちしております!
▼詳細は下記バナーをクリック!
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協力:詩織さん 取材・文:片川 晴喜 編集:平本 淳也 著作:Creem Pan
詩織さん、絵がとても上手ですね。
馬の躍動感や瞳の輝きをありのままに捉えておられて、感心しました。
何はさておき、シュライヒ(Schleich)のホースフィギュアがたくさんあることに共感。
(実はわたくしも○十年来の隠れコレクター☺️🐴❤️)
引退馬問題は「おとな」だけの懸案事項だという思い込みがあったことを反省しています。
「何とかしたい」という問題意識を持つのにおとなも子どももない。年少の頃からそんな意識が芽生えているのなら、おとなの役割は、幼い人たちの真剣な「思い」が何らかの具体的な方策として形になるように、全力で手を貸すことだけです。
>やっぱり馬をペットとして飼うのは難しいかもしれないので
たしかに個々人の庭先で飼うのはちょっと難しいから、全国の小・中学校でポニーを飼育するプログラムを導入してもらえるといいですね。
複数の学校が共同で郊外に牧場を作るか借りるかして(でなければ既存の乗馬クラブに預託したりして)、厩務経験者の指導管理の下で生徒さんが放課後や休日に馬のお世話をしたり、引き馬や乗馬を無料で体験することができれば、馬との距離がぐっと縮まると思います。
そんな環境から、やがて自然に大きな馬にも親しむようになり、引退馬問題に関心を寄せる人も増えてくることでしょう。
詩織さんのまっすぐな発信力に期待いたします。
「親友」とその仲間を思いやる熱い心にエールを送ります。
馬の中にも人の中にも、わかり合える友達をたくさんつくって、生きもの同士が仲良く乗って暮らせるように地球という方舟(はこぶね)を守っていってください!
(おとなも頑張りますッ🙆🫡)